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【答え】 水頭症 -術式や装置よく相談を-

徳島県立中央病院 脳神経外科 本藤秀樹

 「脳内出血後の水頭症」に関するご質問です。急性期の脳内出血で手術を受け、一命を取り留めてリハビリに励んでおられ、ご本人はもちろんご家族も一安心されていたと思います。しかし最近、歩行障害が進行してきたとのことで、これは「正常圧水頭症」と思われます。

 くも膜下出血や脳内出血の後、脳脊髄液の循環が悪くなり、脳室が拡大して認知症や歩行障害、失禁が起こります。これが「正常圧水頭症」といわれる状態です。ひどくなると、意思の疎通ができなくなったり、食事の経口摂取もできなくなったりして、寝たきりの状態になることもあります。最初の出血の後、1カ月から半年くらいたって起こってくることが多いようです。また、近年は原因不明の「特発性正常圧水頭症」も認知症の原因として注目されています。

 脳脊髄液は無色透明の液で、脳室の脈絡叢(みゃくらくそう)で1日に約500ミリリットル作られ、1日に3回くらい入れ替わります。また、出血の急性期には脳圧が高くなりますが、正常圧水頭症は脳圧が正常範囲なので、この名前が付いています。

 治療法として、通常は「脳室腹腔短絡(のうしつふっくうたんらく)(シャント)術」あるいは「腰椎(ようつい)腹腔短絡術」があります。前者は脳室と腹腔を皮下に通したシャントチューブでつなぎ、余分な脳脊髄液を腹膜から吸収させる方法です。後者は腰部の脊髄腔と腹腔をつなぐ手術です。

 また、使用するシャントの装置も、圧固定式と圧可変式があります。この装置は小さいもので、皮下に埋め込み、脳圧が一定以上になると脳脊髄液が自動的に流れるようになっています。圧可変式装置の利点は、術後に脳脊髄液の流れや症状の改善が悪い場合、皮膚の上から磁石で設定圧を変更することができるので、再手術が不要なことです。ただ、欠点としてMRIをとると設定圧が変わってしまうため、MRIの検査は禁忌となっています。

 手術の後、数日から1週間くらいで症状が改善することが多いようです。手術の合併症として感染や硬膜下血腫などがありますが、頻度は少ないようです。

 いずれにしても、この水頭症手術が症状の改善に有効ですので、担当医の先生と術式や使用する装置について、よくご相談されて手術を受けることをお勧めします。

【写真説明】
術前(左)と術後の脳のCT画像。
術後は、中央の空洞である脳室が縮小していることが分かる。


徳島新聞2010年3月21日号より転載

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