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 第22班は医師2名、看護師2名、理学療法士1名、薬剤師1名、事務員1名、それに災害支援ナースとして麻植協同病院の看護師2名からなる総勢9名のチームでした。

 5月18日は移動日で私は、東京で日本医師会環境保健委員会に出席した後、新幹線で午後7時に仙台に到着しました。午後9時から宮城県県庁の災害対策本部で第21班からの引き継ぎを受け、ホテルに到着したのは午後11時頃でした。翌19日朝6時30分に朝食を取り7時に車で出発し、約2時間半ほどかかり、石巻市の日赤病院に到着しました。そこで登録を済ました後、万石浦中学校に移動し診療活動を開始しました。初めの頃の救護班にくらべて、訪れる患者さんの数は、減少していた為、患者さん一人一人と、ゆっくりと話しをする事が出来ました。不眠、頭痛、目まい、肩凝り等の症状を訴える患者さんが多く、一人一人が震災から受けた衝撃から精神的に立ち直れていない状態でした。また、石巻市に1ヶ所だけあった眼科の診療所が津波の直撃を受け医師や従業員が、死亡又は行方不明となり、診療が出来なくなった為、目薬を希望する患者さんが多く来られました。夕方になると、万石浦救護所の前の道は、大潮でもあり、地盤沈下により浸水してくる為診療は午後4時に終了しました。
東日本大震災大塚写真1
県庁で

 現地に来る前に、石巻市医師会の事務局長と連絡を取り、19日に開催される石巻市医師会の理事会の前に、市の医師会長、副会長にお会いし、現地の医療状況をお聞きする予定を立てていました。午後5時に医師会長にお会いする事ができ、震災時から現在に至る石巻市の医療の実態をお聞きする事が出来ました。石巻市医師会は160名の会員がいますが、震災時には、2名の会員の方が亡くなり、いまだに9ヶ所の診療所が診療を再開できていないとの事でした。事務局長は娘さんを津波で亡くされ、副会長は、私と出身大学が同じで、2年後輩でしたが、震災当日に、診療所の一階部分が浸水し、レントゲンの装置などが被害を受けていました。
東日本大震災大塚写真2
石巻市医師会

 最近になり、多くの病院、診療所が仕事を始める事が出来るようになりましたが、医療器械のほとんどが使えない為、診療にたいそう不便を感じているとの事でした。また、石巻市医師会の訪問看護センターの巡回車が津波により7台のうち5台が被害を受け使用出来なくなっていました。被災者の多くの方々が避難所から自宅に帰るようになり(自宅もその多くが1階部分は使用出来ず2階で暮らしている)訪問看護の要請が増え、看護師は出動出来るのに、車がない為、そのニーズに答えられず困っているとのお話を聞きました。この為、川島会長に連絡し、帰県してすぐに開催される徳島県医師会理事会の承認を得て、県医師会員の先生からの義援金を使わせてもらって、巡回車(中古の軽自動車1台)を石巻市医師会に贈る事にしました。
東日本大震災大塚写真3
街中で「生存名簿有」

 20日から21日にかけては、救護所での診療に加えて、避難所の往診を行いました。私は木下病院の山口看護師と共に万石浦中学校の体育館を訪問し、家族単位で、音楽療法やストレッチ体操や阿波の民話のお話をしたりしました。避難所の皆さんも一緒になって歌を歌ったり、体操をしたりして、終了する頃には皆さんの笑顔を見る事が出来ました。
東日本大震災大塚写真4
避難所で体操

 3日間の診療活動の中で多くの事を体験し、感じ、学ぶ事が出来ました。その中で今後の課題として色々の問題が浮かびあがりました。まず、被災者の方々が大変我慢強く、私達が十分にお話しをうかがい、打ち解けて初めて少し要望を言ってくれました。例えば、避難所での食事は非常に粗末で(朝おにぎり1個、昼パン1個、夜弁当)で、夕方に翌日のおにぎりやパンなども配布するため衛生にも問題がある事等。その他に私が感じた事としては、当地での医療機関が診療科目によっては、ほとんど機能していない為、5月末で打ち切る事が決まっている医療支援の受け皿がはっきりしていない事に対する患者さんの不安。避難所が体育館である為、今後暑くなって来た時に熱中症が発症しやすい事。座っている事が多い為、下肢の循環不全をおこしやすい事。長期にわたり続くであろう避難所生活が、避難している方々にこれらの健康被害を引き起こす可能性がある為、出来るだけ早期に避難所以外の場所(仮設住宅等)に移っていただく必要があると感じました。

 最後になりましたが、木下病院の橋本先生をリーダーとして、22班全員がチームワーク良く和気あいあいと活動し、避難所の人達に少しでも喜んでいただけた事が、私の一番の誇りであり、「チーム22」の皆さん全員に感謝したいと思っています。
東日本大震災大塚写真5
チーム22
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