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【質問】 腰痛にレーザー治療は

 20代の男性です。3年前から腰のヘルニアに苦しんでいます。先日、重い物を移動させた時に痛みがあり、現在は仕事を休んで、注射と飲み薬で治療中です。手術ではなくレーザーで焼き付ける治療法があると聞きましたが、完治するのでしょうか。手術とどちらがいいのでしょうか。入院日数や保険適用の可否も教えてください。



【答え】 腰椎椎間板ヘルニア -有効率低く、内視鏡手術を-

田岡病院 脊椎内視鏡センター長 八木省次(徳島市万代町)

 腰椎(ようつい)椎間板(ついかんばん)ヘルニアとは、腰骨を連結している椎間板内にある髄核組織が後方へ突出し、神経を圧迫することによって腰痛や下肢痛を引き起こす病気です。この突出した髄核がヘルニアと呼ばれます。多くは、薬剤や神経ブロックなどの手術以外の治療で治りますが、質問者は3年前から症状があるようですので、手術治療が必要かもしれません。

 レーザー治療は、手術ではないと理解されているようですが、レーザー椎間板減圧術といわれる手術法の一つです。椎間内にレーザーファイバーを挿入し、レーザー照射によって椎間板を蒸散させ、椎間板内圧を減ずることで、ヘルニアによる神経の圧迫を少なくする方法です。ヘルニアそのものを摘出する方法ではありません。したがって、対象は比較的小さなヘルニアに限られます。

 日本整形外科学会のガイドラインによると、この方法は有効率が低いこと、レーザーによる椎間板や椎体への悪影響が指摘されており、脊椎専門学会でもあまり推奨されていません。保険は適応されず自費診療です。入院日数に関しては日帰りか、1泊入院で行われています。取り扱い病院は、インターネットなどで調べてください。これらのことをご理解の上、検討されてはいかがでしょうか。

20110717腰椎椎間板ヘルニア

 腰椎椎間板ヘルニアの手術方法は、ラブ法という後方からの切開手術でヘルニアを摘出する手術が一般的に行われていますが、最近は内視鏡手術<図>が広まりつつあります。

 この手術は、全身麻酔か腰椎麻酔で行われます。約16ミリの皮膚切開で、椎弓(神経を保護する骨)、筋肉などの組織をできるだけ傷つけない低侵襲手術です。術後の痛みも少なく、手術当日か翌日には歩行が可能で、入院期間が短く、傷も小さいため美容上も優れた方法です。

 しかし、技術を要する手術ですので、2005年に日本整形外科学会が脊椎内視鏡下手術・技術認定医を認定し、手術の安全性が図られています。

 この手術は2006年から保険治療ができるようになりましたが、厚労省が認可した病院に限られます。四国では数カ所しかないと思います。
 また最近は、さらに小さな7ミリの皮膚切開で行われる経皮的内視鏡下ヘルニア摘出術という手術法が開発されています。局所麻酔で行われ、1泊入院の手術です。

 このように、手術法も患者の負担が少ない方法が開発されてはいますが、まだ実施されている病院が少ないので、主治医と相談され適切な方法を選択されてはいかがでしょうか。

徳島新聞2011年7月17日号より転載

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