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【質問】 足裏にたこ 痛みひどい

 50代の女性です。外反母趾(がいはんぼし)で、足の裏のたこが絶えません。最近は痛みがひどくなってきました。手術など治療方法があれば教えてください。また、普段から気を付けることはありますか。



【答え】 外反母趾 -靴や運動で症状改善も-

徳島県立中央病院 整形外科 斎藤慎一郎

 外反母趾は、足の親指の付け根が内側に飛び出し、親指が小指側に曲がってくる病気です。曲がるだけでは痛みは少ないのですが、靴に当たるなどして、親指の付け根の飛び出した部分が赤く腫れて炎症を起こすと痛くなります。

 ご質問の場合、足の裏が痛むとのことですので、この飛び出した部分の痛みではないと思われます。外反母趾は変形が進むにつれ、足の横のアーチが崩れてきます。正常であれば、足の裏の前足部は中央でへこんでいるのですが、外反母趾が進むにつれて、前足部は横に広がって「開帳足」という状態になり、足の裏の真ん中の部分が盛り上がってきます。縦のアーチも同じように崩れてきて扁平(へんぺい)足にもなってきます。

 このような状態で歩くと足の裏の前の方に体重がかかり、たこができるなどして痛みがでます。さらに、外反母趾の親指の出っ張りが当たらないような大きめの靴や柔らかい靴を履くと、余計に扁平足、開帳足が進んで痛みが強くなると思われます。

 外反母趾の治療ですが、日本人には手術が必要なほどの外反母趾は比較的少ないといわれています。手術をせずに治療する方法は、運動療法や指の間に挟む装具、靴や中敷きを調整して治療する方法があります。

 外反母趾の初期の場合、親指を引っ張ると変形が改善して足の形が元に戻ることがあります。この時期であれば、運動や装具で改善する可能性があります。しかし、固まってしまって引っ張ってもまっすぐにならない場合、無理に運動したり、装具をつけたりすると痛みが強くなり、関節が痛んでしまうこともあるので注意が必要です。

 また、ふくらはぎから足にかけての筋肉、腱(けん)の機能が傷害されることによってかかとの骨が外に傾き、扁平足、開帳足、外反母趾に進むともいわれていますので、筋力を強くするような運動も、状態によっては効果があると思います。

 靴や中敷きを用いる治療は、適切に行うと効果は高いと思われます。靴はかかとから足の甲の部分がしっかりと固定されて足の形に合ったものを選びます。中敷きは足のアーチを支えるようなものを使用します。たこが当たって痛い場合、その部分を柔らかくしたり、削ったりしたりして当たらないようにすることもあります。

 一方、手術の方法は、これまでに130種類以上の方法が考えられていると言われていますが、基本的には、親指の根本の骨を切ってまっすぐにし、ワイヤやスクリューなどで固定します。術式は、変形の程度や痛みの場所によって選んでいきます。主に母趾の変形の矯正になるので、足底の痛みが残る場合もあります。そのほかにも、変形の再発や手術に際しての合併症の危険もあり、主治医と十分な相談が必要です。

 一人一人の足の状態は全く違っていますので、手術をしなければ痛みが取れない場合もあれば、靴や運動で症状が改善する場合もあります。一度、専門医を受診して相談してみてください。

徳島新聞2009年12月20日号より転載

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