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【質問】 片耳だけ詰まった感じ

 20代の女性です。最近、片耳だけ詰まったような感じや、低い音が聞こえにくいといった症状があり困っています。知人から「低音障害型感音難聴」という病名を聞き、これに当たるのではないかと心配です。診断方法や治療について教えてください。また普段の生活で気を付けることなどありますか。



【回答】 急性低音障害型感音難聴 -治療にホルモン・利尿剤-

高石司耳鼻咽喉科 高石 司(徳島市城東町)

 急性低音障害型感音難聴とは、突然、耳が詰まったような症状や低い音の耳鳴りが起こる病気です。

 難聴は大きく3つに分類されます。外耳から中耳までの異常で起きる伝音難聴、内耳から脳までの異常で起こる感音難聴、そしてこの2つが混ざった混合性難聴です。急性低音障害型感音難聴は感音難聴にあたります。

 人が聴くことができる音の高さ(周波数)は、20ヘルツから2万ヘルツまでと言われています。通常、検査される音域は125ヘルツから8000ヘルツまでの間で、125、250、500、1000、2000、4000、8000ヘルツの7周波数が使われます。ちなみに、人の話し声は500ヘルツから4000ヘルツです。

 低音障害型感音難聴は、このうち低音である125ヘルツ、250ヘルツ、500ヘルツの3周波数の音が聞こえなくなる病気です。そのため、聴こえにくいというより、耳の詰まった感じとなります。

 急性低音障害型難聴は、20代から40代の、特に女性に多く見られます。以前は治りやすい病気とされていましたが、繰り返し起こったり、メニエール病というめまいを繰り返す病気になったりします。長い経過でみると、必ずしも治りやすい病気でないことが分かってきました。

 実際の治療においては、副腎皮質ホルモンや利尿剤が使用されます。副腎皮質ホルモンは、通常は2週間以内の使用で副作用の心配はほとんどありません。利尿剤は、内耳がリンパ液でむくんだ状態になっているのを治す目的で使用されます。若い方、聴力障害の軽い方、早期に治療した方は治りやすいと言われています。

 原因は不明ですが、誘因としてストレスが挙げられます。ストレスを感じやすく、それに反応しやすい性格の人は繰り返して起こりやすいと考えられます。最近の社会不安のためか、女性の患者さんの数が増加しています。

 ご質問の方は、片耳だけ詰まったような感じや、低い音が聴こえにくいという症状があるようですから、この急性低音障害型感音難聴であることが考えられます。早く治療を開始した方が良いと思います。鼓膜などを診察して聴力検査した上で、診断がはっきりします。日常生活では、十分な睡眠をとり、ストレスへの対策を考えてください。

徳島新聞2009年11月22日号より転載

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