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【質問】 3カ月前手術、再発防ぐには

 70代の男性です。3カ月ほど前、声帯にポリープがあると診断されて手術しました。しかし最近、またポリープができていることが分かり、手術を促されています。今後もポリープが再発する可能性はあるのでしょうか。再発を防ぐために気を付けることはありますか。
 



【答え】 声帯ポリープ-疾患により対策異なる-

徳島赤十字病院 耳鼻咽喉科 秋月裕則

声帯にポリープができているということですが、われわれが「声帯にポリープがある」と説明する際には、厳密な意味での声帯ポリープだけでなく、声帯結節(けっせつ)、喉頭肉芽腫(こうとうにくげしゅ)、喉頭腫瘍(しゅよう)などの疾患を指すことがあります。疾患によって原因が異なるので、再発の可能性や予防の対策も異なります。 結節(けっせつ)、喉頭肉芽腫(こうとうにくげしゅ)、喉頭腫瘍(しゅよう)などの疾患を指すことがあります。疾患によって原因が異なるので、再発の可能性や予防の対策も異なります。

 一般的な声帯ポリープや声帯結節と呼ばれる状態では、声を酷使することが声帯に悪い影響を及ぼします。例えば、大きな声で長時間話す必要がある職種の人は、この病気が比較的起きやすいと言われています。また、詩吟やカラオケなども度が過ぎると声を酷使することにつながり、再発の可能性が増します。声の出し方が悪く、知らない間にのどに負担をかけている場合もあるので注意が必要です。

 こういった疾患の場合、発声方法を練習する「ボイストレーニング」という治療方法があります。発声の方法はさまざまですが、一例として、おなかに力を入れて息を吐き出すようにして発声するといった腹式呼吸が挙げられます。職業上どうしても声を出さなければいけないという人には、再発防止のため、こういった治療を勧めています。

 また当然のことながら、たばこはのどにとって一番悪い影響を及ぼします。ポリープの再発だけでなく、喉頭癌(がん)の危険因子にも当たります。のどが乾燥しないように注意し、こまめに水分補給をすることも大切です。

 喉頭肉芽腫は、ファイバースコープで検査しても腫瘍との見分けが付きにくいため、手術をお勧めすることがあります。もし悪性腫瘍であれば、治療法が全く変わってきます。そのために、切除した組織を病理検査に提出し、診断を確定します。

 肉芽腫の原因として一番多いのは、胃酸が食道やのどに逆流する際の刺激であることが分かってきました。そのため、胃酸の分泌を抑える薬での治療が一般的です。胃酸は、特に夜間の就寝中に逆流しやすいため、就寝前の三時間は食事を取らないようにしたり、夕食時には油物や飲酒を控えたりするなど、食生活に気を使うことも大切です。胃酸以外が原因の場合は、治療を行いながらほかの原因を見つけていきます。

 以上のように、原因は疾患や人によって異なりますので、ご自身にあった方法を主治医の先生と相談するのがよいのではないでしょうか。

徳島新聞2009年5月24日号より転載

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