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【質問】 治療薬の常用で副作用心配

 63歳の男性です。最近、朝起きたときに両手の指の関節にこわばりを感じるようになりました。2~3分動かしたり指を引っ張ったりすると、元に戻ります。リウマチの前兆は手や指の関節のこわばりからと聞いたことがあるので、内科受診時に血液検査をしてもらったところ、リウマチに関するRF(抗体検査)の値が基準値15が17でした。リウマチ因子があるので、これ以上進ませないため早期治療として鎮痛消炎剤を飲み続ける必要があるといわれました。薬の常用はリウマチのためには良いとしても、副作用の心配はありませんか。



【答え】 関節リウマチ -体に合った薬 選択可能-

いわせ整形外科 岩瀬 六郎(徳島市南出来島町)

 関節リウマチとは原因不明の全身性、炎症性疾患であり、慢性進行性の関節破壊が特徴です。この関節破壊は発症から2~3年の間に最も進むことが分かっています。この時期にリウマチの活動をコントロールすることが、将来、リウマチによる機能障害を最小限に食い止められるか否かを左右します。

早期関節リウマチの診断基準
(日本リウマチ学会)
1.3関節以上の痛み
2.2関節以上の腫れ(腫瘍)
3.朝のこわばり
4.リウマトイド結節(主にひじに出現)
5.赤沈20mm/hr以上の高値またはCRPの陽性
6.リウマチ因子陽性
※以上6項目のうち3項目以上を満たす場合に「早期関節リウマチ」と判断する
このため、早期にリウマチを見つけて手を打つことが大切です。早期関節リウマチの診断基準≪別表≫はこうして作られました。リウマチに特異的な臨床症状や検査の所見がないため、診断は主に特徴的な症状や所見を組み合わせたものになっています。

 診断基準は6項目からなっており、このうち3項目以上を満たすと、早期関節リウマチと判断されます。質問者の場合、早期関節リウマチが疑われますが、確定診断ではありません。質問の内容によると、6項目のうち、朝のこわばりとリウマチ因子陽性の2項目を満たすだけだからです。これ以外に当てはまる項目がなければ、鎮痛消炎剤を使いながら経過を観察するだけで良いでしょう。

 もし、関節の腫(は)れと痛みがあるのなら、早期関節リウマチとみなすことになります。より確定的に関節リウマチと診断するには、リウマチと症状のよく似た変形性関節症、関節炎を伴う難病の膠原(こうげん)病、強直性脊椎(せきつい)炎などを除外する必要があります。その上で、関節の腫れと痛みが続くようなら、リウマチ治療を開始することになります。

 治療には、関節の痛みや腫れを抑える鎮痛消炎剤の投与と、関節破壊の進行を遅らせ、関節の機能を維持する抗リウマチ薬の投与の2つがあります。

 リウマチは発症早期から、鎮痛消炎剤と抗リウマチ薬を併用するのが一般的です。鎮痛消炎剤の副作用は主として胃腸障害と、薬によるアレルギー反応などによる薬疹です。最近は副作用が少なく、効果が十分な薬も開発されています。薬の選択肢も広がっていますので、あなたに合った薬を使用することが可能だと思います。専門医とよく相談し、治療を続けてください。

徳島新聞2008年8月3日号より転載

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