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【質問】 生理不順が長い間続く

 45歳の女性です。産婦人科検診を毎年受診していますが、更年期だといわれて悩んでいます。生理の周期が不順で、すごく長い間続きます。腹痛や腰痛、胸が張るなどの症状もあります。母が子宮がんだったので、もしかしたら私もと、不安で仕方がありません。考え過ぎてしまうことも更年期のせいなのでしょうか。これらの症状とうまく付き合っていくにはどうすれないいのか、アドバイスをお願いします。



【答え】 更年期障害 -HRTや投薬治療で改善-

春名産婦人科 春名 充(徳島市南二軒屋町)

簡易更年期指数チェック表
症状の程度に応じて、各項目の数字に○印をつけ、その合計点を基にチェックします。どれか一つの症状でも強く出れば「強」に○をしてください。
症 状
症状の程度
顔がほてる10
汗をかきやすい10
腰や手足が冷えやすい14
息切れ、動悸がする12
寝つきが悪い、
または眠りが浅い
14
怒りやすく、
すぐイライラする
12
くよくよしたり、憂うつに
なったりすることがある
頭痛、めまい、
吐き気がよくある
肩こり、腰痛、
手足の痛みがある
 まず、更年期障害がどんな症状なのかを説明します。個人差はありますが、閉経の前後5年間くらいを更年期といいます。更年期障害は、閉経に伴って卵巣から分泌される女性ホルモンが急激に低下するために起こります。 

 女性ホルモンが低下すると▽顔のほてりや発汗、手足の冷え、動悸(どうき)などの血管運動神経障害▽肩こりや腰痛、関節痛などの運動器障害▽頭痛、不眠、不安、めまい、憂うつ、イライラなどの精神神経障害▽手足のしびれやアリが体をはうような感じがする知覚神経障害-が出てきます。これがひどくなり、日常生活に支障が現れるものを更年期障害といいます。

 診断は、自覚症状による評価(簡易更年期指数チェック)≪表≫を用います。この表で自己採点が高い人は治療が必要となる場合があります。

更年期指数の自己採点の評価法
 0- 25点上手に更年期を過ごしています。これまでの生活態度を続けていいでしょうか
26- 50点食事、運動などに注意を払い、生活様式などにも無理をしないようにしましょう
51- 65点医師の診察を受け、生活指導、カウンセリング、薬物療法を受けた方がいいでしょう
66- 80点長期間(半年以上)の計画的な治療が必要でしょう
81-100点各科の精密検査を受け、更年期障害のみである場合は、専門医での長期の計画的な対応が必要でしょう
 治療の代表的なものは、減少した女性ホルモンを補うホルモン補充療法(HRT)です。また、漢方療法や、精神神経症状が強い場合は抗うつ薬、抗不安薬など心療内科的な治療が必要となることもあります。これらの治療によって更年期の症状が改善されます。

 質問の人は、かかりつけ医から更年期障害といわれています。ただ、更年期障害と類似するものとして、心疾患、高血圧症、甲状腺疾患、脳血管障害、脳腫瘍(しゅよう)などの内科・外科疾患、仮面うつ病などの精神科疾患がありますから、これらを除外して考える必要があります。

 更年期は、女性の誰もが経験する人生の通過点です。この時期を上手に過ごすため、体調に異変を感じたときには一人で悩まず、まず産婦人科医に相談してみてください。HRTなど、あなたに合った治療法が見つかるはずです。

 このほかにも、自分に合った趣味や運動を見つけたり、バランスのよい食事(適正なエネルギー量、良質のたんぱく質、ビタミン、ミネラルなど)を取ったりして、更年期を上手に乗り越えましょう。

徳島新聞2008年7月6日号より転載

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