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【質問】 妊娠への影響はあるか

 24歳の女性です。6月に結婚する予定で、赤ちゃんを望んでいます。私は子どものころから生理不順で、しかも生理痛もひどく悩んでいるのですが、妊娠に影響はないのでしょうか。実は、婦人科検診を受けたことがないのです。雑誌で「結婚前のブライダルチェックは常識になりつつある」と書かれている記事を読みました。やはり、検診を受けておいた方がいいでしょうか。その場合、どのような検査を受ければいいのか、アドバイスをお願いします。



【答え】 月経不順 -早めに産婦人科受診を-

しんくら女性クリニック 院長 塩見 ひろ美(徳島市新蔵町3丁目)

 結論から言えば、一度、産婦人科の受診をお勧めします。

 生理(月経)不順は、月経周期異常と言い換えることができます。正常の月経周期は25日から36日あるいは38日とされています。月経周期は、月経の出血が始まった日を1日目として、次の月経が始まる前日までの日数です。

 まず、本当に月経周期の異常があるのかどうか、自分で数えてみてください。月経不順を心配して受診する人の中には、正常周期であるのに、例えば28日周期ではないから異常などと、誤解している人も少なくありません。

 仮に本当に月経周期異常があった場合、排卵が起こっているか否かを調べます。排卵というのは、月経周期の中ほどで起こる、成熟した卵が卵巣から出る現象で、妊娠が成立するのに不可欠なものです。排卵が起こっていなくても、見かけ上、月経のように出血が起こることもあり、排卵はあるけれども回数が少ないこともあります。排卵の状態をみる検査は、基礎体温の測定、ホルモン検査(血液検査)、超音波検査などです。どれも比較的負担の少ない検査です。

 月経痛に関しては、月経痛がひどくなる婦人科的な病気が無いかをチェックした方がよいでしょう。月経痛がひどくなる代表的な病気には、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮内膜ポリープなどがあります。どれも妊娠成立に悪影響を与えることがある病気です。

 これらを見つけるには、内診と超音波検査が有効です。どちらも産婦人科で実施する基本的な診察と検査です。その上で必要な場合には、MRI検査や子宮鏡検査を受けた方がよいこともあります。ただし、若い人で月経痛がひどい場合の多くは、機能性月経困難症と呼ばれる状態で、前に述べた婦人科的病気は認められないものですので、過度の心配は無用です。

 質問にあった「ブライダルチェック」というのは、結婚前に病気、特に婦人科的病気が無いかどうか、健康で妊娠できるかどうかを、診察を受けてチェックするという意味で使われている言葉だと理解しています。結婚を控えた人が、妊娠できるかどうかをみてほしいと受診することがありますが、妊娠にはさまざまな要因が影響するので、1回の診察では、妊娠可能かどうかを判断できません。

 このチェックは人間ドックと同じで、通常は保険診療外の私費診療となります。ただ、あなたのように月経に関する困った症状がある人は、もちろん保険診療ができます。早めに産婦人科を受診することをお勧めします。

 また、質問の中の婦人科検診というのは、子宮頸癌(けいがん)検診のことだと思います。これも通常は、産婦人科を受診した際に短時間で可能な検査ですので、同時に受けられることをお勧めします。

徳島新聞2008年5月25日号より転載

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