徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

【質問】 薄くなる頭髪、現状保ちたい

 32歳の男性です。このところ鏡を見るたびに頭髪が薄くなっているように思います。あまり気にしないようにしているのですが、友人からは厳しい指摘を受けます。最近、テレビのCMを見て、抜け毛専門の医療機関があると聞きました。徳島にもあるのでしょうか。どんな治療方法があるのか教えてください。できることなら現状を保ちたいです。



【答え】 男性型脱毛症(AGA) -服薬で効果、皮膚科受診を-

阿南共栄病院 皮膚科 赤澤 啓人

 男性型脱毛症(AGA)についての相談のようです。遺伝的要素が強いといわれるAGAは、思春期以降に発症し、徐々に薄毛が進行します。額の生え際が後退したり、頭頂部の髪が薄くなったり、その両方が同時にみられたりする数種類のタイプがあります。うぶ毛のような細くて短い髪の毛が多くなり、ハリやコシがなくなってきます。

 髪には一定のヘアサイクルがあります。AGAの原因としては、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)が、ヘアサイクルの成長期を短くすることによって硬毛を軟毛化し、薄毛を進行させることが最大の要因といわれています。特に前額部と頭頂部はDHTの作用を受けやすく、この部位での脱毛が進むと考えられます。

 AGAの治療法ですが、フィナステリドの服用がお勧めです。フィナステリドはDHTの産生を抑える内服薬として、2005年12月に発売されました。相談の「抜け毛専門の医療機関」が県内にあるかどうかは知りませんが、皮膚科に相談すればいいと考えます。ただ、フィナステリドは保険適用外なので、皮膚科を受診する前に取り扱いの有無や治療費などを問い合わせることをお勧めします。

 フィナステリドの効果については、国内における3年の長期投与試験で、98%に改善効果または抜け毛の進行抑制が認められています。しかし劇的に毛が増えるわけではなく、あくまでも治療の第一目標は抜け毛の進行を抑えること、あるいは相談者が望んでいる「現状を保つ」ことです。

 治療効果の判定には6カ月かかり、服用を中止すると効果は消えるので、治療の継続が重要です。副作用に関しては他の一般薬と大差ありませんが、最近重い肝障害も報告されており、定期的な検診・検査が必要と考えられています。服用中は前立腺がん検診の検査値の補正が必要などいくつかの注意点があるので、医師とのコミュニケーションが大切です。

 医師とのコミュニケーションは、AGA患者の心理的な負担を軽減するとのデータもあります。フィナステリドはAGAの初期段階から使用した方が、より有効といわれていますので、早期の受診をお勧めします。

徳島新聞2007年12月16日号より転載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.