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【質問】 息子の「肥満度」高いが…

 小学2年生の息子が、学校から健康診断結果を持って帰りました。診断によると、肥満度は50%で「二次指定医療機関の受診をお勧めします」とありました。私が太っているせいか息子も少しぽっちゃりしています。肥満は遺伝するのでしょうか。確かに、遊びに来ている他の子どもと比べてみても、食べる量は多いです。また、よく眠ります。これは病気なのでしょうか。二次指定医療機関の受診とはどういうことでしょうか。



【答え】 小児肥満症 -合併症の有無検査を-

徳島赤十字病院 小児科 中津 忠則

 近年、肥満傾向の子どもの数が大変多くなってきており、特に徳島県では全国平均をかなり上回っている状況にあります。子どものころの肥満は、大人になっても肥満になりやすいこと、生活習慣病の要因の一つであること、子どもでも他の病気を伴っていることが多いこと-などがはっきりしてきました。

 これらのことや徳島県が糖尿病による死亡率が全国1を続けていることなどから、子どもの肥満の予防や解消に取り組むことになりました。その一環として、2003年度から小児肥満の健康管理システムが県内で導入されています。

 これは小中学校の健康診断で測定する身長、体重から肥満度を算出し、50%以上の子どもと、50%未満でも希望する子どもに、指定医療機関で二次検診を受けてもらうというものです。二次検診では肥満に伴う病気がないかどうかの検査を行い、肥満解消のための食事、運動、生活指導などを行います。質問の息子さんも小児肥満の健康管理システムにより、二次検診を勧められたものです。

 肥満とは、体内に過剰な脂肪が蓄積している状態のことで、遺伝的素因と食事・運動・生活習慣などの環境因子が関係します。親子の間では、遺伝と環境のいずれも密接に関係していますので、ともに肥満傾向のことが多いわけです。

 息子さんの肥満は病気なのかという質問ですが、肥満に伴って高血圧、糖尿病、脂肪肝、高脂血症などの健康障害があり、肥満を軽減してこれらの合併症を治療する必要がある場合、医学的には小児肥満症としています。実際に検査をすると、子どもにこれらの合併症が多いことに驚かされます。特に肥満度50%以上の高度肥満の子どもでは非常に高い割合で伴っていますので、是非とも医療機関で診断を受けることをお勧めします。

 ご質問の息子さんは友達と遊び、しっかり食べてよく眠っていますので、子どもらしい良い生活習慣と推測されます。一般的に肥満の解消には食事療法が最も大切ですが、子どもの成長・発達を妨げないように、バランス良く栄養を取りながら、エネルギー量を抑えることがポイントです。また、運動療法は日常生活の中で歩くことを基本とし、毎日楽しくできる、子どもの好きな運動を取り入れます。

 食事・運動ともに家族ぐるみで取り組むことが大切です。これらの肥満解消法についても、二次医療機関で指導してもらえます。

徳島新聞2007年6月3日号より転載

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