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【質問】 レーザー治療受けたい

 23歳女性です。日差しがきついと思っていたら、顔に直径5ミリほどのシミが3カ所もできてしまい、化粧で隠していますが、とても気になっています。これからの季節は化粧を薄くしたいし、汗で崩れてしまいますので、シミが薄くなると雑誌に書いてあったレーザー治療を受けたいと思います。治療には痛みはあるのでしょうか。仕事をしていてあまり休みがとれませんが、入院は必要になりますか。費用はどのくらいかかるのでしょうか。保険が使えるかも教えてください。



【答え】 顔のシミ -短時間照射で入院不要-

喜多美容形成外科 喜多 孝志(徳島市東山手町3丁目)

 シミは、皮膚の一部にメラニンという色素が異常に沈着して色が濃くなったものです。シミを薄くするレーザーはQスイッチレーザーと呼ばれ、メラニンに吸収されやすい波長です。ごく短時間照射して色素沈着した細胞を壊します。

 レーザー治療では、照射時に指ではじいた程度の痛みがあります。無麻酔でも可能ですが、より痛みを和らげるために、麻酔テープを張って30分以上たってから行います。麻酔のゼリーを塗って治療する医療機関もあります。

 レーザー照射は、シミが小さければ数分で終わります。入院の必要はなく、照射後すぐに帰宅できます。照射した部分は薄いかさぶたができてやや黒くなりますが、1~2週間ほどではがれてきます。表層のシミだとその時に薄くなっています。深いシミだと色が残っていますが、徐々に薄くなってきます。

 照射後に、炎症後色素沈着といわれる症状を起こすことがあります。この場合は2週間後ぐらいから色が濃くなってきます。摩擦刺激による色素沈着がある人や、化粧品皮膚炎などの皮膚疾患のある人に強く反応が出ます。以前より濃くなったと感じる人もいます。

 炎症後色素沈着は、通常照射して3カ月ごろから薄くなってきます。紫外線はこの色素沈着が薄くなるのを妨げるので、日焼け止めクリームなどを使って防ぎます。また、ハイドロキノンやコウジ酸などの美白クリームを使用することをお勧めしています。照射後に紫外線防止のためテープを数カ月間張る場合もありますが、テープによる皮膚炎を生じる人がいます。

 シミのレーザー治療には保険が使えません。費用は医療機関によって異なりますが、直径1センチのシミで1万円ぐらい、直径5ミリ以内だと5千円ぐらいかかります。

 注意が必要なのは、肝斑というシミの場合です。肝斑は妊娠した後などにまぶた周囲やほお周囲にできるシミで、ホルモンのバランス異常が原因の一つだと考えられています。肝斑だとレーザー治療が無効で、むしろ濃くなることがあるため、内服薬と美白剤などで薄くします。

 シミと思われるものには肝斑のほか、雀卵斑(そばかす)や母斑(あざ)などの先天性の色素沈着症、日光性(老人性)色素斑、炎症後色素沈着などたくさんあります。診断は簡単ではなく、見ただけで鑑別できない場合もあります。レーザー治療に適しているシミとそうでないシミがあり、専門医の診察を受けてから治療を受けるようにしてください。

 紫外線はシミをつくる大きな原因ですが、これから増える季節です。シミは再発しやすく、新たなシミを予防するためにも、日焼け止めはしっかり使用してください。

徳島新聞2007年5月13日号より転載

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