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【質問】 風邪薬でかゆみと浮腫

 30代の女性です。若いころからアレルギー性鼻炎に悩んでいます。昨年、市販のかぜ薬をのんだところ、2時間後にかゆみと浮腫が初めて出ました。受診した内科では「薬剤アレルギー」と診断されましたが、「たくさんの成分が入っているため、何が原因で起きたのか分からない」といわれました。「次に起きる症状はひどくなる」とも忠告され、怖くて違う薬ものめません。今後、のむと思われる鎮静剤や抗生物質だけでも簡単に調べることはできないでしょうか。また、このとき風邪の症状と鼻炎アレルギーの症状があって風邪薬をのんだのですが、関係はないのでしょうか。どんなことに注意して薬と付き合うべきか教えてください。



【答え】 薬剤アレルギー -皮膚科でパッチテストを-

徳島大学病院 薬剤部長 水口 和生

 質問の女性は市販の風邪薬を服用していて、薬剤アレルギーを生じた様子です。その原因成分を特定するためには、皮膚科で風邪薬に含まれるすべての成分についてパッチテスト(薬物の微量を皮膚につけ、アレルギー反応を調べる方法)を受ける必要があります。このテストで皮膚に発赤反応を示す成分が原因物質となります。

 今回は、前述のテストをしていませんので、一般的な話をしておきます。

【薬剤アレルギー】

 常用量または、それ以下の量の薬剤を服用したとき、その薬剤本来の薬理作用とは異なる反応のうち、免疫学的機序(異物である薬物が抗原として作用し、体内に抗体が産生されて抗原抗体反応を起こすこと)によって起こるものが薬剤アレルギーです。薬剤アレルギーは、薬剤による副作用の約一割を占めるといわれるほど、発生頻度の高いものです。

 症状は、質問の女性のように、じんましん様の発疹(ほっしん)がよく見られます。しかし、中にはアナフィラキシー(生命を脅かすような急性なアレルギー反応)、咽頭(いんとう)浮腫、ぜんそくのような呼吸困難など緊急の治療を必要とすることもあります。

【市販の風邪薬の成分】

 質問の女性が服用したという市販の風邪薬とは、薬局・薬店で販売されているいわゆる総合感冒薬のことだろうと思われます。

 市販の総合感冒薬には熱を下げ、頭痛や関節の痛みを和らげる解熱鎮痛薬、鼻水やくしゃみを和らげる抗ヒスタミン薬、鼻やのどの炎症を鎮める抗炎症薬、せき止め薬、たんを切れやすくする喀痰(かくたん)溶解薬、そのほかビタミン類などが配合されています。

 ビタミン類以外は、どの薬物もアレルギーを起こす可能性を否定できません。特に、一部の製品に配合されている塩化リゾチーム(炎症を鎮め、たんを切れやすくする効果がある)は、卵白アレルギーの人には禁物です。

 解熱鎮痛薬としては、多くの製品が比較的安全なため、小児にも使用可能なアセトアミノフェインを配合しています。同じ解熱鎮痛薬として使われているアスピリン、イブプロフェンに比べれば安全ですが、前述のように薬剤アレルギーを完全には否定できません。せき止め薬にはリン酸ジヒドロコデインなどが配合されていますが、比較的安全だと思います。

 質問の女性が心配している鎮静剤や抗生物質は市販の総合感冒薬には含まれていません。従って、今回の薬剤アレルギーには、これら2つの薬物は関係ありません。

 ただ、アレルギー症状があるのなら、医師にかかるときには必ずそのことを申し出てください。抗生物質の投与に際し、注意を払ってくれると思います。また市販の薬品を薬局で購入する際にも、必ず薬剤師に相談してください。

徳島新聞2005年10月16日号より転載

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