徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

【質問】 何度も手術が必要なのか

 72歳の女性です。5年前に大腸がんを切りました。今年8月には胆石と、ポリープのがんを取りました。昨年は別の病院で3つあるポリープのうち1つだけ見逃したため、それが原因でがんになりました。まだポリープが出てくるので3回、4回と手術しなければならないといわれました。また、便が出ないため、漢方薬を朝昼2袋ずつ飲んでいます。5年前の手術前は、便はよく出ていました。心臓が悪く、糖尿病も患っています。



【答え】 大腸ポリープ -組織型や既往症から判断-

徳島内科消化器科クリニック 多田津 昌也(徳島市西須賀町東開)

 質問の内容は大腸ポリープと便秘の治療に関することと思われますので、それぞれに対し回答します。

 最近は、一般的にも“ポリープ”という言葉が使われるようになっていますが、組織学的には、がん化の可能性があり切除が必要なものから、ほとんどがん化の心配がなく放置して構わないものまで、いろいろな種類があります。大腸ポリープ自体は珍しいものではなく、大腸内視鏡検査では半数以上に5ミリ以下の小さなポリープが認められるといわれます。

 相談者のポリープは、おそらく“腺腫(せんしゅ)性のポリープ”と思われます。5年前に手術をした大腸がんは、腺腫の発見が遅れてがんになっていたと考えられますが、大腸ポリープの切除は大きさと組織型によって決定されます。

 学会でも、まだ議論になるところですが、サイズや組織型によっておおむねポリープががんに変わる期間が推定できるようになっており、内視鏡検査の間隔が決定されます。

 以前は生検といって、ポリープの組織の一部を取って、細胞を調べる検査だけで診断していたので時間がかかっていましたが、最近はポリープの表面構造が拡大できる内視鏡を使用し、腺口形態(ピットパターン)という表面の性状を観察して組織型の診断が可能となっています。サイズを考慮し、その場で切除が必要な状態であるかの判断が下されるようになっています。

 諸説ありますが、大腸ポリープが発生してからがんになるまでには、数年(おそらく5年以上)かかるといわれています。完全にすべてのポリープを切除すれば、理論的には5年程度は、がんの心配がないということになります。

 しかし、実際には大腸検査のときに便が残っていることも多く、相談者のようにポリープの見落としがある可能性もあります。また、非常に早いスピードでがんになる種類のポリープもあり、ポリープ切除後の検査の間隔は年1回程度の経過観察がよいといわれています。

 相談者の残存ポリープの組織型、サイズが不明ですが、おそらく心臓病などの関係で長時間の検査に耐えられないため、1回の検査で1~2個のポリープを切除していく方針になっていると考えられます。主治医の診断では、1年程度の経過観察は問題ないということで、その指示通りでよいと思われますが、次回の検査によって検査間隔は変わってくることも考えられます。

 数年かけて、すべてのポリープが切除できれば、前述したように理論的には5年程度は、がんの心配はないということになりますが、大腸がんの既往があるハイリスクグループとなるので、当面は年1回程度の検査が妥当でしょう。大切なことは、過度に心配しないで、内視鏡専門医のもとで定期的に適切な間隔で検査を受けることです。

 便秘に関しては、さまざまな要因があるので一概には言えませんが、もし、糖尿病のコントロールが思わしくないなら、糖尿病の神経障害の一つとして便秘が生じることがあります。この場合は、まず、糖尿病の厳格なコントロールが必要です。その上で症状に合った薬剤を服用することになります。

 一般的に便秘の治療としては、朝食を必ずとる、食物繊維の多い食事をとる、水分を十分に摂取する、適度に運動をする、便意が生じたときに我慢しないなどの注意点があります。しかし、心臓疾患、糖尿病など他の疾患を合併している人は、水分の摂取制限やカロリー制限が必要な場合があるので、主治医との相談が必要です。

 一般療法、食事療法で効果が認められなければ、下剤の服用が必要となりますが、腸の蠕動(ぜんどう)運動が低下しているタイプ(弛緩(しかん)性便秘)では、緩下剤(便を軟らかくする薬)や膨張性下剤(便の量を多くする薬)を少量から開始し、少しずつ増やして、至適容量を決めることが大切です。どうしても十分な排便がない場合は、大腸刺激性の下剤(センナ系など)を使用することになりますが、量が多すぎると相談者のように便の回数が多くなりすぎたり、長期間使用すると効き目が悪くなったりします。

 直腸の排便に対する反射が鈍っているタイプの便秘(直腸性便秘)の場合は、座薬を入れて直腸を刺激すると排便があることがあります。基本的には、緩下剤などで1~数日に1回の排便があるような薬の量を決定し、十分な排便のない場合は大腸刺激性の下剤、あるいは座薬を使用して排便を促しますが、常用はしない方針とするのがいいでしょう。

徳島新聞2005年10月2日号より転載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.