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【質問】 目やにが頻繁に出る

 27歳の女性です。10年ほど前から、白い粘質の目やにが頻繁に出ます。病院では「慢性結膜炎」と診断され、目薬を処方されています。しかし、目薬をさしても、全く改善しません。目が開けられないほどの量ではないんですが、ふきとっても10分ほどでまた出てきます。人前で話すとき、いつも気になって仕方ありません。何が原因なんでしょうか。有効な治療法についても教えてください。



【答え】 慢性細菌性結膜炎 -耐性菌の可能性も-

遠藤眼科医院 遠藤 公美子(名西郡石井町石井)

 頻繁に出る目やにで悩んでいるようなので、まず目やにについて説明します。

 目やにとは、目の表面に出る分泌物の総称です。その成分は、結膜や眼瞼(がんけん)から産出されたムチン(粘液)が主成分で、細胞成分としては血管外に漏出した血液細胞、脱落や崩壊した上皮などの老廃物が、涙液に混じったもので、その性状は多岐にわたります。生理的にも目やには出ます。起床時にわずかに付いている白色の目やには生理的な目やにです。

 問題は病的な目やにです。目やにを訴える疾患は、ほとんどが結膜の炎症性疾患です。そのほかには、結膜異物や、まつげ内反・乱生(いわゆる、さかまつげ)などによる物理的刺激で誘発される目やに、ドライアイや涙道の障害によりウォッシュアウト(汚れた涙を涙道へ運ぶ働き)が低下して滞留する目やにがあります。

 目やにの症状は原因により多様で、量や色調も異なります。一般的には、細菌性結膜炎は粘液膿(のう)性、ウイルス性およびアレルギー性結膜炎は漿液(しょうえき)性、線維素性とされています。また細菌性結膜炎では、超急性から急性、慢性と経過が長くなるほど、目やにの量は少なくなります。性状も膿性から粘液性、線維素性と変化します。ドライアイでも粘液性の目やにが出ることもあります。

 さて、患者さんの場合ですが、結膜の状態や、目やに以外の自覚症状(痛み、異物感、かゆみ、霞目(かすみめ))、両眼か片眼かの別も分からないので、原因の判断が難しいですが、経過が10年と長く、白い粘質の目やにが出ることから、慢性細菌性結膜炎が考えられます。

 しかし、現在使っている眼薬の効果がないとのことですから、最近増えている耐性菌かもしれません。目やにや結膜擦過物の直接鏡検と細菌培養をして、菌が検出されればその薬剤感受性テストをする必要があります。

 慢性結膜炎の背景には、マイボーム腺炎、慢性涙嚢(るいのう)炎、涙小管炎などのほかの外眼部感染症があることも多いので、それらの有無も検査する必要があります。

 感染性以外にも、患者さんは若い女性ですから、コンタクトレンズ装用や目の周囲の化粧品、目薬によってもアレルギーを生じ、これらによる目やにも考えられます。そのほかにもアトピー体質やドライアイがあれば、それによって目やにが出る可能性もあります。

 相談の目やにの原因と有効な治療法ですが、慢性結膜炎の場合には、感染性かそうでないかの判断が難しい症例もあるので、再度の十分な臨床観察と検査を眼科専門医で受けるよう勧めます。

徳島新聞2005年6月26日号より転載

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