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【質問】 鼻血が止まらない

 72歳の女性です。3年前から鼻血で悩んでいます。耳鼻科で焼き付けてもらうと半年くらいはもつのですが、鼻血が止まるまでの間、くしゃみをしても出ます。さし薬はあまり使わないほうがいいと聞いていますが、それもあまり効き目がありません。この症状は一生の付き合いになるのでしょうか。完全に治す方法はないのでしょうか。



【答え】 鼻出血 -元疾患の治療が必要-

川田耳鼻咽喉科 川田 文也(阿南市宝田町平岡)

 鼻出血は耳鼻咽喉(いんこう)科の病気の中でも最も多い症状の一つです。鼻出血は〈図〉の3カ所から出ることがほとんどです。中でも<1>から出る場合が90%を占めています。なぜなら、手や指が届き触って傷つけやすいからです。またこの場所は、粘膜の下に血管が豊富にあり、表面は薄い粘膜だけで、下には血管より硬い軟骨があって、鼻が顔より前に飛び出していることもあり、よりいっそう傷つく機会が多いものと考えられます。

 いったん傷ついた場所は、完全に治るまでは、くしゃみや、おなかに力を入れただけでも、再出血することがあります。治りきるまではあまり鼻に手を持っていかないようにしてください。

 次に、頻度は約10%と少ないのですが<2>から出る場合があります。主に高齢者の成人病による血管病変に伴った出血と考えられ、動脈性の出血となることが多いようです。<3>から出る場合もありますが、まれです。

 半年後にまた再出血するとのことですが、これはいったん治り、あなたが再度傷つけたもので、治りきっていないのではありません。鼻出血を繰り返す人は、〈表〉のような疾患を基礎に持っている場合があり、それを治さずにいると鼻出血を繰り返すことになるようです。





血小板減少症、白血病、
再生不良性貧血、血友病、高血圧症、
甲状腺機能亢進(こうしん)症、
川崎病、オスラー病、肉芽腫症、
アレルギー性血管炎、リウマチ熱、
ビタミンC欠乏症




副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、
悪性腫瘍(しゅよう)、出血性良性腫瘍、
萎縮(いしゅく)性鼻炎、急性鼻炎、
鼻内異物、外傷
例えば5歳前後の小児に多いのですが、アレルギー性鼻炎のある人は、鼻がムズムズするので、よくこすって鼻出血を起こします。この場合、鼻の粘膜を焼き付けただけではすぐ再出血を起こすので、元疾患のアレルギー性鼻炎の治療を行います。あなたの場合も何らかの原因があると思われます。

 「さし薬はあまり使わない方がいいか」とのことですが、何のためのさし薬でしょうか。文面からではよく分かりませんが、鼻出血そのものに対し、さし薬は処方されないと思われます。おそらく、副鼻腔炎(ふくびくうえん)に対し処方された鼻詰まりを抑えるスプレーか、アレルギー性鼻炎に対するスプレーだと思われます。必要な場合は使用した方がよいと思います。

 以上は全身的な疾患のない、局所疾患について書きましたが、血液疾患の初発症状が鼻出血であったり、肝臓疾患に伴ったり、ビタミン不足に原因があることもあります。このように鼻出血にはさまざまな原因があります。主治医とよく相談されることをお勧めします。

徳島新聞2004年10月3日号より転載

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