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【質問】子どもの包茎手術いつすれば

 幼児期に子どものおちんちんを皮膚科で診てもらうと、真性包茎だといわれました。今、子どもは小学生になりましたが、このまま放っておいてもいいでしょうか。手術した方がいいのなら、何歳ごろ、何科の病院でしてもらったらいいでしょうか。思春期までにした方がいいのかどうか悩んでいます。仮性包茎と真性包茎の場合では、対処の方法も違うのでしょうか。健康保険は使えますか。



【答え】 包茎 -新しい治療法もよく相談を-

健康保険鳴門病院 泌尿器科 赤澤 誠二

 初めに包茎について、一般的な話をします。思春期になると、陰茎の発達増大に伴い、亀頭が常時露出した状態となるのが、正常な変化です。思春期を過ぎてもそのような状態にならないのが包茎です。

 包茎には、真性包茎と仮性包茎があります。真性包茎は、先天的に包皮輪が狭く、包皮輪を通って亀頭を露出することができない状態です。それに対して仮性包茎は、包皮を翻転(ほんてん)すれば亀頭は完全に露出状態となりますが、包皮が長いために、日常は亀頭が包皮に覆われた状態にあるものをいいます。

 では、どのような状態であると、手術が必要になるのでしょうか。

 まず真性包茎であれば、すべて手術の対象となります。特に、排尿時に包皮が膨らんでくるような高度のものは、手術を急ぐ必要があります。非常にまれですが、水腎症や腎機能障害を来す可能性があります。また、包皮炎を度々起こすようなら、早めに手術をした方がよいでしょう。仮性包茎では包皮および亀頭部を清潔にしておれば、手術は必ずしも必要ではありません。ただ包茎であることは、陰茎がん発症の危険性が高いということも事実です。

 真性包茎と診断されても、乳幼児期には包皮にステロイド軟こうを塗布することにより、包皮が柔らかくなり、亀頭の露出が可能となる場合が少なからずあります。このため最近は、包茎の手術件数がずいぶん減少しています。

 手術の方法は、乳幼児期には包皮輪を拡大するような手術、代表的なものとしては背面切開術(包皮の背面を縦に切開し内側の皮膚と外側の皮膚を縫い合わす方法)が行われます。思春期以降は包皮環状切除術が行われます。手術には、麻酔が必要ですが、ある程度の学年までは全身麻酔で行います。術中じっとしていられるような年齢になれば、局所麻酔で行うことも可能です。

 どの時期が手術に適しているとの定説はありませんが、三歳くらいまでは包皮と亀頭が癒着しているために真性包茎の診断が難しいので、三歳になったら一度、専門医に診てもらいましょう。その後は気付いた時期に、専門医に相談するのがよいでしょう。

 さて、相談のお子さんですが、皮膚科の医師に診てもらってから、かなりの年月が経過しているようですので、現状を正確に把握することが大切になります。治療法も当時と必ずしも同じではありませんので、一度、専門医を受診することをお勧めします。皮膚科、泌尿器科いずれでもよいと思いますが、手術が絡みますので、泌尿器科で診ることの方が多いようです。

 もちろん、受診は健康保険が適用されます。仮性包茎でも医師が手術が必要だと判断すれば健康保険が適用されます。美容上のことだけで手術を希望する場合には、健康保険は適用されません。

 最後に余談ですが、仮性包茎で包皮を翻転したままにすると、むくみで包皮が元に戻らなくなることがあります。これを嵌頓(かんとん)包茎といいます。軽度だと手で整復できますが、ひどくなると手術が必要となります。もしもなってしまったら、時間外でもかまいませんから、急いで病院を受診してください。

徳島新聞2004年8月29日号より転載

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