徳島県医師会 トップページへ

  • 文字サイズ標準
  • 文字サイズ拡大
文字サイズ変更について
県民の皆さまへ

【質問】 しゃべりにくくボーッとする

 37歳の男性です。肉料理などカロリーの高い食べ物が好きで、最近、体重も増加傾向です。昨年の秋ごろ、突然、言葉がしゃべりにくくなり、頭がボーッとしてきたので心配になり、病院で採血しました。異常なしでした。脳に異常があるかどうかは、CTやMRIで見ないと分からないとのことでした。身長は170センチ、体重は68キロです。総コレステロールは1デシリットル当たり274ミリグラム、中性脂肪は171ミリグラムとの結果でした。いずれも正常値より高めですが、コレステロールは特に高いようです。もともと、よく頭痛になるほうです。やはり精密検査を受けるべきでしょうか。



【答え】 言語障害と高脂血症 -糖尿病・高血圧症の検査を-

徳島市民病院 日浅 光春

 心配されるのも、もっともと思われますが、医者の立場から言うと、もう少し検査をして、教えてもらいたい点があります。

 一つは、総コレステロールのほかに、いわゆる悪玉コレステロールといわれているLDLです。総コレステロールは、いわゆる善玉コレステロール(HDL)と悪玉に分けられ、LDLが動脈硬化の原因になるといわれています。

 総コレステロールやLDLの正常値は、動脈硬化の危険因子(男性は45歳以上、女性は閉経後、冠動脈疾患の家族歴、喫煙習慣、高血圧、肥満、糖尿病、高中性脂肪血症)がなければ、1デシリットル当たり220ミリグラム(単位以下同)未満、LDLは140未満です。

 総コレステロールとLDLは、平行して上下することが多いのですが、まれにそうでないないこともありますので、やはりLDLも検査してみる必要があります。

 動脈硬化の危険因子がない方で、LDLが140未満であれば、総コレステロールが多少高くても心配ありません。LDLが140以上であれば、食事療法や運動、160以上では、薬物療法など何らかの治療が必要となってきます。動脈硬化の危険因子がある方では、その程度によって正常値がさらに低くなってきますので、医師に相談してください。

 なお、相談者の身長と体重は、BMIという指数では、23.5(正常値は19.8-24.2)となり、まだ肥満ではありません。

 中性脂肪については、空腹時に検査したかどうかで、その値の意味が大きく異なってきます。食後なら171は高くありませんが、空腹時に検査したのなら、正常値は150未満ですので上がっています。軽度ですが、高コレステロール血症もありそうなので、医師に相談してください。

 血中のコレステロールや中性脂肪が、正常より高くなっている状態を高脂血症と言っています。高脂血症には、糖尿病や高血圧症を併発することがよくあります。

 これらを併発すると、恐ろしい動脈硬化症の危険が何倍にも増加して、脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞を起こしやすくなります。高脂血症と診断されたときは、必ず糖尿病や高血圧症を併発していないか検査を受けてください。

 最後に、もう一つ付け加えると、日本人の脳梗塞や心筋梗塞には、高脂血症を伴っていない場合も時にみられます。動脈硬化症の原因は、高脂血症のみではなく、現在はまだ注目されていない他の原因もあるものと思われます。

 相談者は、高コレステロール血症があるわけですが、高脂血症がない方でも、めまいや頭痛、しゃべりにくい、手足がしびれる、などの症状のある方は、一度は脳外科や神経内科などの専門医を受診するか脳ドックを早めに受けておいた方がよいと思われます。

徳島新聞2004年4月4日号より転載

© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.