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【質問】 くしゃみ・鼻水が止まらない

 35歳の男性です。1カ月くらい前から、鼻がむずむずすることが多く、くしゃみを連発するようになってしまいました。目もごろごろして、いつも涙目です。微熱が出ることもあるので、市販の風邪薬を飲んでいますが、症状が改善しません。友人は、花粉症ではないかといいますが、私は、これまで花粉症にかかったことがないので、自分では違うのではないかと思っています。この年齢になって、突然、花粉症になったりするのでしょうか。アレルギー体質ではないと、自分では思っているのですが。あまり治らないので、病院で診察してもらったほうがいいのかとも考えています。検査などで、原因が分かるのでしょうか。



【答え】 風邪と花粉症 -薬物以外に手術・免疫療法も-

グリーン耳鼻咽喉科 馬淵 厚至(麻植郡鴨島町鴨島)

 毎年春になると、相談者と同様の訴えを聞くことが多くなります。

 今年は2月14日ごろより中国から黄砂が飛んできており、スギ花粉は、地域により多少異なりますが、同21日ごろより飛散量が多くなっているようです。昨年の冷夏の影響で、今年のスギ花粉の飛散は少ないと予想されていますが、どうでしょうか。

 【鑑別のポイント】

 風邪の初期には、くしゃみや水鼻など花粉症と同じ症状がでますが、数日のうちに膿性鼻汁(のうせいびじゅう)(濁った鼻水)に変わってきたり、発熱や扁桃腺炎(へんとうせんえん)など、症状の変化がみられます。時間帯や天気による症状の変化はあまりみられません。そして短期間、1~2週間のうちに改善することが多いと思われます。

 一方、花粉症では、花粉の飛散量(天気や気温の影響あり)や、行動パターン(外出や掃除洗濯など)により、症状に変化がみられることが多いようです。

 また、転居や仕事内容の変化、周囲の刺激性物質の有無、ペットの有無などにより、他の病気や原因との鑑別を要する場合もあります。

 【検査・診断】

 医療機関においては、問診(アレルギーの既往歴、家族歴なども重要)、視診(鼻内所見)と、鼻汁検査、皮膚テスト、血液検査、レントゲン検査などの中から必要な検査を行い、アレルギーの有無、また何に対してアレルギーがあるのかなどの診断を行います。

 【スギ花粉症の発症年齢】

 少し前までは、スギ花粉症の発症のピークは、20、30代といわれていましたが、最近の報告では、中学生や10歳以下の発症の増加が認められているそうです。環境の変化や食生活の変化などにより、アレルギー性の疾患は増加しており、低年齢から高年齢までほとんどの年齢層において、花粉症などのアレルギー疾患が認められております。

 【スギ花粉症の治療】

 花粉症は、異物を排除する防御反応が過剰に起こって自分の体を痛めるというもので、防御反応をなくすわけにはいかないので、いかにコントロールするかということになります。

 抗原の除去回避が最も重要です。花粉情報を参考に、マスクや眼鏡を使用したり、服装や洗濯掃除に注意したりしましょう。

 その他の治療として、薬物療法(内服、外用)、特異的免疫療法、手術療法などがあります。それぞれの治療にはメリット、デメリットもありますので、医療機関でよく相談してください。

 新しい内服薬では、眠気などの副作用を抑えたものや、鼻閉に効果の高いものもあり、各個人に合わせた投薬がしやすくなってきました。

 【注意点】

 病気によっては使用できない薬があったり、服用中の薬と併用できない薬があったりします(緑内障や前立腺肥大症に抗ヒスタミン薬が使えないことなど)。治療中の病気や使用薬剤などがありましたら、受診する医療機関にお知らせください。

徳島新聞2004年3月28日号より転載

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