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【質問】 11歳の娘がたびたび頭痛

 小学5年生(11歳)の娘のことで相談します。3~4年前から、よく頭痛を訴えるようになりました。だいたい月に1~3回程度痛くなるようです。痛くなるのは決まって夜で、痛くてなかなか寝つけないときもありますが、寝ると朝にはすっかり治っています。専門医を受診した方がいいのかどうか迷っています。また、鎮痛剤は飲ませてもいいのでしょうか。身長156センチ、体重44キロと、大きな体格です。



【答え】 子どもの慢性頭痛 -鎮痛薬服用 薬依存の恐れも-

田山チャイルドクリニック 田山 正伸(徳島市北矢三町3丁目)

 子どもが「頭が痛い」という頻度は、年齢によって大きな差があります。自覚症状を正確に訴えることができるのは、3歳以上といわれていますが、個人差があります。痛みは本来、自分で感じるものなので、他人には正確に分からないものです。大人であれば、症状の把握ができるものでも、子どもであると、十分に分からないことがあります。 

 子どもの頭痛の原因としては、一般的に、脳自体の病気が占める割合は約5%といわれています。残りの95%は、脳以外の原因によることになります。

 頭痛の国際分類では、原因が特に見つからないもの(機能性頭痛)と、原因が見つかるもの(症候性頭痛)に分類されます。したがって、頭痛以外の症状があったり、経過によっては、念のために、一度は小児科や脳神経外科の専門医を受診して、頭部MRI検査や脳波検査などを行う必要があるかどうか相談した方がよいと思います。

 質問を読んで、症状を整理してみました。

 <1>年齢が11歳ということなので、正確に自覚症状を訴えることができる年齢である<2>3~4年前から症状を訴えているので、急激な発症でない<3>月に1~3回の頻度で継続している<4>決まって夜に痛みがある<5>痛みでなかなか寝つけないときがあるが、睡眠によって痛みが消失する<6>体格は身長と体重ともに、11歳の標準以上である。

 今回のケースでは、いわゆる慢性の頭痛に該当し、頻度からみると、筋緊張性頭痛と片頭痛が考えられます。

 一般的に、両者とも成人に多くみられるものですが、小学校高学年の子どもにもみられます。痛みの性質からは、筋緊張性頭痛は「頭が重い、締め付けられるような」と訴えることが多く、片頭痛は「ズキン、ズキン」と訴えることが多いようです。

 筋緊張性頭痛は筋肉の凝りからくるもので、主に首から後頭部にかけての鈍い痛みです。原因は、肩凝りと同じストレスによるものです。また、長時間、同じ姿勢で熱中していることが多かったり、食事中や勉強中、あるいはテレビを見ているときなどに、悪い姿勢を長く取っていることに関係する場合があります。

 ストレスに関しては、お母さんから、学校での生活や友人関係などで悩みがあるかどうか、さりげなく聞いてあげることが大切です。

 片頭痛は通常、片側のこめかみに痛みがあり、家族性発症も多く、目や手足の異常を伴うことがあります。痛みが次第に強くなり、吐き気や嘔吐(おうと)を伴うことがあります。

 以上のことにより、今回の文面からでは、筋緊張性頭痛が考えられます。

 しかし、そのほか、心因性の頭痛や眼科的疾患に起因する頭痛、起立性調節障害の一症状としての頭痛などがあります。我慢できない痛みがあるときには、鎮痛薬を服用してもいいのですが、薬剤に依存してしまう恐れもあります。診断を確定するためには、一度、念のために、小児科や脳神経外科の専門医を受診してみることをお勧めします。

徳島新聞2004年2月22日号より転載

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