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【質問】 身長が伸びないのは?

 祖父母や父母、兄妹もみんな標準より背が大きい方ですが、高校1年生の孫娘だけ身長が伸びません。先日の測定で152.6cmだったそうです。中学1年から1cmくらいしか伸びていません。中学時代は、部活に所属し毎日猛練習していました。友達はこの部活を早くやめたのですが、同時に身長が伸びたとのことでした。気を付けてバランスよく食事を取っています。何科で診察を受ければいいでしょうか。



【答え】 低身長 -基礎疾患の有無を確認 -

宮本小児科 宮本 直紀(小松島市大林町宮ノ本)

 身長が伸びず悩んでいるようですが、低身長を診る場合、それが病的であるか否か、さらに今後伸びる余地があるかどうかが問題になります。

 これらを判断するには、今までの成長の記録をグラフに表してみるとよいでしょう。日本人女性の正常な身長の伸びは、グラフ〈別表〉のようになります。幼児期から一定のペースで増加していた身長は、思春期になると、性ホルモンによる骨成熟促進のため急速に伸び、やがて骨端線(こったんせん)(骨の成長段階でできる線)の閉鎖に伴い最終身長に達します。グラフ上のマイナス2SDとは、平均身長より、標準偏差の2倍低いという意味です。標準偏差とは、平均値からの隔たりを表す量です。統計上は、マイナス2SD以下の身長を低身長(小人症)と定義しています。

 子供さんの身長の記録を、グラフ上に当てはめてみてください。身長がマイナス2SD以内で平均値のグラフに沿って増加していれば、まず病的な低身長の心配はないと考えられます。逆に、マイナス2SDを大きく下回る場合や、加齢に伴い平均値から離れていく場合、あるいは、最終身長に達する年齢でもないのに、ある時期から急に伸びが悪くなった場合などは、病的な低身長が疑われます。このような場合は、小児科の専門医を受診することをお勧めします。

 次に、今後、身長の伸びの余地がどの程度あるかという問題ですが、骨端線が閉鎖すると身長は伸びなくなります。これは、手の骨のレントゲン写真を診て判断します。骨の成熟度により、今後の身長の伸びの予測も可能です。

 さて、質問のお孫さんの場合、現在の身長をグラフ上に表すと、およそマイナス1SDの身長であり、決して低身長ではありません。また、活発に運動もしているようですし、病的な状態ではなさそうです。お孫さんは、小学校高学年のころに、二次性徴に伴い、急速に身長が伸びた時期がありませんでしたか。そのような時期があった後、中学一年生のころから身長の伸びが悪くなったのであれば、すでに最終身長に到達したものと思われます。

 いずれにしても、お孫さんの場合は、一度小児科専門医を受診して、最終身長に達しているか否かを診断してもらいましょう。身長増加不良を来すような基礎疾患が無いことも確認してもらってください。病的な状態でなければ、「小柄なのも個性のうち」と、前向きにとらえてください。

徳島新聞2003年5月25日号より転載

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