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【質問】 腰が痛くて困っています

 78歳の女性ですが、昨春から腰が痛くて困っています。最近では、右腰骨が特にひどく、整形外科で診察を受けたところ、椎間板(ついかんばん)ヘルニアと診断されました。飲み薬を1週間分で2回もらいましたが、少しも効果がありません。椎間板ヘルニアとはどんな病気なのか、詳しく教えてください。また、1日15分ぐらい散歩していますが、構わないのでしょうか。



【答え】 腰椎間板ヘルニア -最適の治療法 見つけて-

中洲八木病院 八木 康公(徳島市中洲町1丁目)

 腰痛の原因で、最も代表的なのが椎間板ヘルニアです。2本足で立って歩く私たちにとって、腰には絶えず大きな負担がかかっており、腰は体の要とも言えます。そのため、腰の椎間板ヘルニアは人類にとって宿命的な病気といえます。

 腰の骨(椎体)と骨との間にクッションの役目をする椎間板という柔らかい円板が入っています。この円板により、私たちの腰は良く曲げ伸ばしできるわけです。椎間板は中心に髄核、外側に線維輪の二重構造になっています。

 日常生活の中では、絶えず腰に負担がかかっているため、この円板が年齢とともに弱くなり、何らかの原因で髄核が後方に飛び出して線維輪を破った状態が椎間板ヘルニアです〈図〉。

 ヘルニアによって腰の神経が圧迫刺激されるために腰が痛むばかりでなく、腰から臀部(でんぶ)、さらに足に走る痛みや、しびれを生じるのです。せきやくしゃみをしたり、力んだり、首を前に曲げたりすると痛みが強くなります。腰のあたりが板のようにコチコチになるとか、姿勢が“へっぴり腰”になり、さらに腰が右か左へ曲がるのも特徴。あお向けになって、足を上げると強い痛みを生じます。この上がる程度が、ヘルニアの強さや治療効果の目安になります。

 ヘルニアの診断は、近年進歩が著しく、種々の画像診断で、体の中がのぞけるようになりました。ヘルニアの場所、程度、大きさなどが詳細に分かります。その点で、MRI検査は大変画期的で有効な検査です〈写真〉。

 治療方法はヘルニアの程度、症状が千差万別なように、多くの治療法があります。専門医にできるだけ詳しく症状や経過を話し、最も適した治療方法を選択することが大切です。

 治療には大きく分けると、「手術をしない方法」と「手術治療」があります。最近、メスを使わないレーザーによる治療(経皮的レーザー椎間板減圧手術)も、新しい治療法として取り入れられています。

 質問の女性は毎日15分程度の散歩をされているようですが、適度な運動は大変大切です。姿勢を良くすること、腹筋や背筋を強くすることは、ヘルニア治療になるばかりでなく、予防にもなります。よく治療にコルセットを使いますが、運動で腹筋や背筋を強化することは、とりもなおさず“自然のコルセット”を着けるようなものです。

 「予防は最大の治療」と言われます。椎間板ヘルニアについても、日ごろからの予防が大切だと考えられます。

徳島新聞2003年2月23日号より転載

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