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【質問】 においなく味も分からない

 67歳の女性です。12年前、風邪気味で鼻が少しにおわなくなり、耳鼻科で診察してもらい、点鼻薬をもらいました。その4カ月後、もう一度、耳鼻科で検査してもらいましたが、「手遅れ」と言われました。病名も告げられず、特に薬の処方もされませんでした。最近では、口の中が苦しく、痰(たん)が上あごについてなかなか取れません。味も分からなくなり、においもほとんどありません。どういう病気のでしょうか。また、これ以上、悪くならないようにするにはどうしたら良いのでしょうか。



【答え】 嗅覚障害 -程度、部位まず検査を-

高麗耳鼻咽喉科 高麗 敬司(鳴門市撫養町斎田)

 「におい」は、鼻腔(びくう)と口腔の後部を通って鼻腔内の上部にある嗅(きゅう)粘膜に到達して臭神経を刺激し、その刺激が大脳に伝えられてにおいを感じます。その経路のどこか一部でも侵されたときににおいを感じなくなります。

 その原因には、鼻茸(はなたけ)や鼻アレルギー、肥厚性鼻炎による鼻づまり、慢性副鼻腔炎(蓄膿症(ちくのうしょう))、それに頭蓋(ずがい)内腫瘍(ないしゅよう)や頭部外傷によるものなどがあります。

 相談の女性は、点鼻薬をもらってから4カ月間のことがよく分かりませんが、まず嗅覚障害がどの程度のものなのか、また障害の部位がどこなのかを調べる必要があると思います。

 検査法としては、ある種のビタミン剤を血管注射したときに感じるニンニク臭で判定する静脈性検査や、花のにおいや焦げたにおいなどの5種類の基準臭を、濃度の低いものからかいで調べる基準嗅覚検査(TアンドTオルファクトメーター)などがあります。どちらも検査の値が悪いほど治りにくくなります。また、障害が起こってから時間がたっているほど治りにくいものです。

 治療法としては、リンデロンなどのステロイド剤を点鼻したり、ビタミンAやLシステイン、エチル塩酸塩などの薬を飲みます。中には手術を必要とする場合もありますが、最近では入院せずに受けられるレーザー手術も増えています。

 ところで、味覚障害は血清亜鉛値の低下によっても起こるので、血清亜鉛値を測定し、亜鉛を処方することもあります。

 ほとんどの場合は、風邪症状が回復すると嗅覚や味覚も元に戻りますが、この女性は、かぜ症候群による急性炎症が嗅裂部というところに起こったか、またはウイルスが嗅神経を侵したかが考えられます。嗅裂部は、両目の真ん中あたりの鼻腔上部にあり、狭い上に形態異常も多く、ここに炎症が起こると限局性炎症を残しやすくなり、粘膜の肥厚や癒着を起こして嗅覚が低下します。このタイプは鼻声を伴うのが特徴です。

 この女性のように痰が引っ付いて取れないのは唾(だ)液(えき)の分泌機能の低下なども考えられます。嗅裂部ファイバースコピーやレントゲン検査をして障害部位の状態を確かめることも、治療をする上で必要です。

 嗅覚や味覚は年とともに衰え、その機能を使わないと段々と能力を失う廃用萎(い)縮(しゅく)を起こして治りにくくなります。嗅覚が衰えると食べる楽しみが減り、栄養不良や免疫機能の低下が起こって、老化を早めることにもつながります。嗅覚がまったくなくなるとバナナとサツマイモの区別ができなくなったり、食べ物が腐ったことが分からなかったり、ガス漏れに気付かずに生命に危険が及ぶこともあります。もしおかしいと感じたら、早めに専門医に相談することを勧めます。

徳島新聞2002年6月30日号より転載

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