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【質問】 夫のいびきがうるさい

 40代の主婦です。夫のいびきのことで相談します。ここ1~2年、同室では寝られないほどのうるささです。上、下、横のどの向きにしても同じようにいびきをかいています。いびき防止の鼻輪のようなものも試しましたが、効果はありませんでした。本人も、起床時、のどがカラカラになるときもあるし、旅行の機会もあるので直したいと思っているようです。どのような方法があるのでしょうか。



【答え】 騒音障害か睡眠時無呼吸 -ポリグラフ検査が必要-

谷口耳鼻咽喉科クリニック 谷口 雅彦(板野郡松茂町広島)

 いびきが問題となるのは、今回の質問にあるように一つは騒音障害としてのものです。本人は眠っているので何の苦痛もありませんが、周囲の人に迷惑を与え、本人の社会生活に支障を与えます。この意味で、家庭外での苦情が問題となります。

 もう一つは、睡眠時に無呼吸を伴ういわゆる睡眠時無呼吸症候群です。いびきは、上気道の狭窄(きょうさく)によって起こりますが、これが強いと睡眠中に数十秒にも及ぶ無呼吸を繰り返します。このため、血液中の酸素濃度が低下し、心臓や肺に悪影響を及ぼします。また、生活の中では集中力が低下し、交通事故などを起こす確率も高くなるといわれています。

 いびきの原因としては、何らかの理由で上気道が狭くなる病態が考えられます。全身的な要因としては、肥満、飲酒、過労、ある種の薬物の副作用などが挙げられます。肥満は、体に脂肪が付くだけでなく、のどの奥も肥大させるので気道が狭くなります。アルコールは筋肉の緊張を低下させるため、気道を狭くします。また、血管を膨張させるため、鼻が詰まりやすく、口呼吸になることが多くなります。筋弛緩(きんしかん)薬、睡眠薬、精神安定剤などは筋肉の緊張を緩める作用があるので、狭窄が起きます。

 局所的な要因としては、鼻や咽頭(いんとう)に原因がある場合です。鼻についてはアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎、鼻中隔彎曲(わんきょく)症などがあり、鼻が詰まることが挙げられます。咽頭については、大人のいびきや睡眠時無呼吸の原因の多くを占めていて、一言で言うと口の中の空気の通り道が狭いということです。具体的には▽口蓋垂(こうがいすい)が長く太い▽口蓋扁桃(へんとう)(扁桃腺)が大きい▽のどの奥が狭い▽舌の盛り上がりが著しい-などが挙げられます。

 次に検査は、睡眠ポリグラフ検査といわれるものです。血液の中の酸素の量、胸郭の運動、呼気流量、中咽頭圧などを測定し、睡眠時無呼吸の程度や治療の必要性、治療の方法を判断します。

 最後に治療について話します。比較的軽度のいびきの場合は、家庭のちょっとした工夫や日常生活の改善で良くなることもあります。肥満については減量、飲酒についてはアルコールを控え、先に述べたような筋肉の緊張を緩める薬物を避けます。特に肥満者は、他の治療とともに、まず減量を行うべきです。

 また、今回のケースはあまり役に立っていないようですが、横向きで寝たり、まくらを低くするなど睡眠時の体位を工夫することで、気道の圧迫を防ぎいびきが減ることがあります。鼻の病気に関しては、手術または薬物によって鼻の通りをよくすることで、いびきが減ることもあります。

 上気道狭窄(特に咽頭部)が原因の場合は、鼻マスクを付けて気道に空気を送り込む器械(CPAP)を使用する方法があります。これは、気道内を陽圧にすることによって舌の落ち込みによる閉塞(へいそく)を防止するものです。あるいは口腔内装具(マウスピース)を付けることによって、下顎(したあご)を前方に引き出し、気道を広げる方法もあります。CPAPもマウスピースも毎晩装着する必要があり、あくまで対症療法です。

 外科的治療では、手術によって狭い気道を広げる方法で、口蓋垂を含めた軟口蓋を切り取る方法(UPPP)とレーザーで部分的に焼き取る方法(LAUP)があります。

 質問だけでは、いびきだけか、睡眠時無呼吸を伴うものかはっきりしませんが、きちんと検査を受け、その上でどの治療を行うかを決めるのがいいと思います。

徳島新聞2002年6月16日号より転載

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