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【質問】 鼻通りを良くする方法は・・・

 60代前半の男性です。2年前、鼻茸(はなたけ)があるとの診断を受け、左右とも切除手術を受けました(これは小さなものでした)。しかし、今も左右の鼻づまりがひどく、悩まされています。再発しても手術は嫌なので、鼻通りを良くする市販の点鼻薬を使用したいと思っていますが、どんなものでしょうか。副作用などはないのでしょうか。45年前には、左右ともに蓄のう症の手術をしています。



【答え】 鼻づまり -点鼻薬は決められた回数を-

武田耳鼻咽喉科 武田 直也(徳島市新蔵町1丁目)

 質問の男性は鼻茸の手術を受けたようですが、期待された効果が得られなかったと察します。この質問のキーワードは「鼻づまり」「手術は嫌」「点鼻薬を使用したい」「副作用」で、これらをまとめると「手術をせず、点鼻薬を副作用なく使用し、鼻づまりをなくしたい」となります。

 鼻茸は鼻粘膜の局所的なはれが起こった状態を指し、別名「鼻ポリープ」と呼ばれます。細菌などの感染やアレルギーなどが原因で起こることがあります。まず、鼻茸の原因を探る必要があると思います。

 細菌が原因の場合は、粘った鼻水が出ていることが多く、これを検査することで、より適切な治療ができます。また、アレルギーが原因の場合は、水っぽい鼻水を伴うことが多く、さらにぜんそくなどの病気がある人は鼻茸を切りとっても再発しやすいことがあるので、アレルギーに対する適切な治療が必要です。もちろん、細菌の感染とアレルギーの両方が原因のこともあります。まずは、以上のような原因を見極めた上で、治療を行うことが大切でしょう。

 次に、この男性の鼻の状態を2つに分けて考えましょう。第1は手術で鼻茸を切除したが、鼻の中の粘膜がはれてきている状態。第2は切除された鼻茸は小さかったということなので、何らかの理由で鼻茸が十分に取りきれず、再発している状態です。

 鼻の粘膜がはれてきているのであれば、点鼻薬を含め耳鼻科の外来治療によって鼻づまりがよくなる可能性があります。点鼻薬には鼻の粘膜を収縮させるタイプと、アレルギーを含めた炎症を押さえるタイプがあります。大切なことは先にも述べたように、鼻づまりを起こしている原因に応じた点鼻薬を正しい使用方法で用いることです。特に重要なのは1日の点鼻回数で、薬剤ごとに回数が決められています。これを守らずに何回も点鼻を続けていると鼻の粘膜がはれ、逆に鼻づまりが強まってくるので注意が必要です。

 鼻茸が再発しているのであれば、上記のような治療では治りにくいことがあります。その場合は、再び手術が必要になることもあるでしょう。この男性の意向には反しますが、もし再び手術を選ぶのであれば、鼻茸の切除に加え鼻の中の整形(鼻のまん中を仕切っている骨の曲がりの矯正や張り出している鼻の粘膜の一部切除など)を同時に行うと、一層効果的と思います。

 鼻の手術は、ここ数年間で内視鏡を中心とした医療機器の進歩によって格段に進歩しています。言い換えれば、患者さんにできるだけ負担をかけない手術方法が実現されています。「一昔前の鼻の手術」の印象をひきずっている人も、もう一度、最新の方法について説明を受けてみてはいかがでしょうか。

徳島新聞2002年5月5日号より転載

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