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【質問】 薬について教えて

 50代半ばの主婦です。以前、徳島新聞社主催の「薬と健康セミナー」に参加したところ、講師の先生の話がとても有益で、印象に残りました。そこで薬のことについてもう少し教えていただきたいことがあります。それは<1>市販の薬と医者から処方される薬の違い<2>内服薬の正しいのみ方<3>薬ののみ忘れに気づいたときは、どう対処したらいいか<4>薬の副作用や他の薬とののみ合わせ-についてです。よろしくお願いします。



【答え】 正しい服用法 -上半身起こし水でのむ-

徳島逓信病院 院長 斎藤 晴比古

 ご質問事項を中心に、講演の内容をQ&Aの形でまとめてみました。この機会に薬の正しいのみ方を身につけましょう。

-市販の薬と医師から処方される薬の違いは。

 薬局で買える薬は「風邪の症状を和らげる」「胸やけを除去する」「便秘を解消する」「熱を下げる」といったような一時的な体の異常を緩和させるものが中心で、一般論として病気を根本的に治療するものは対象外となっています。

 一方、医療機関で医師から出される薬は、個々の患者さんの病状、診察所見、検査結果などの総合的な診断のもとに処方され、服用期間を限って強い作用を持つものが含まれることもあります。自分によく効いた薬だからといって、同じ症状を持つ他の人に分け与えるのは絶対に禁物です。医師から処方された薬は、あくまでもあなた専用のオーダーメードと考えてください。

 市販の薬で症状が改善されない場合は、病気の進行を防ぐためにも早めに受診して検査を受けましょう。

-内服薬の正しいのみ方は。

 薬の効果を十分に得るには、使用法を守って正しく服用しましょう。内服薬は、上半身を起こし、コップ一杯程度の水(湯冷まし)でのむのが正しいのみ方です。寝たままの状態や、水なしでのむと、薬が食道の粘膜にはりついて十分な効果が得られないばかりか、食道に炎症を起こして、ただれや潰瘍(かいよう)をつくる原因にもなります。

 水以外の飲み物では、薬の作用が変化することがあるので極力避けましょう。例えば、ある種の血圧の薬は、グレープフルーツジュースと一緒にのむと作用が増強されることがありますし、安定剤や睡眠薬はカフェインの入った飲料と一緒にのむと逆に効果が弱くなることがあります。

 一般に「食前」や「食後」とあるのは、食事の前後それぞれ半時間程度、「食間」は、食後2時間程度が服用の目安です。

-薬ののみ忘れに気づいたときは。

 内服薬には消化管の粘膜面に直接作用するものもありますが、多くは小腸などから吸収された後、血液で全身に運ばれ、病巣(患部)に到達して作用します。従って、薬の成分の血中濃度が一定以上に保たれるように、種類に応じて「1日1回、朝食後」「1日3回、食前」などと服用法が指示されています。

 のみ忘れると、薬の血中濃度が下がり、効果がなくなってしまうので、特に「1日1回」の服用の場合は、のみ忘れに気づいた時点で服用するのが基本です。しかし、1日に複数回に分けてのむ薬の場合には、薬効上の問題を含めて次に薬を服用する時刻との兼ね合いもありますから、その対処法を事前に医師や薬剤師に聞いておいた方が無難です。

-高血圧の薬を何年ものんでいますが、副作用の心配は。

 一般に高血圧、糖尿病、動脈硬化などの慢性疾患の薬は、のみ続けるのが基本とされていますから、現在、用いられている薬は特にこの点に注意が向けられ開発・認可される仕組みになっています。また、使用する医師も、受診時に副作用について問診や血液検査などでチェックすることが義務づけられていますから、必ず定期的に受診し、疑問があれば積極的に相談しましょう。

 薬をのんでも、のまなくても自覚症状に変わりがないからといって、勝手に中止したり、のむ量を調節したりするのは危険です。薬の副作用を詳しく知りたいときは、医師や薬剤師に直接聞くか、薬を受け取る際に情報提供書を作成してもらうとよいでしょう。

-歯料から薬をもらいましたが、内科や外科の薬と一緒にのんで大丈夫?

 異なる診療科や医療機関で並行して治療を受ける際には、薬を処方してもらうときにその旨をあらかじめ告げ、病名や薬の名前をメモしていくとよいでしょう。薬の名前が分からない場合は、実物を持参すれば安心です。また、妊娠中や特定の薬にアレルギーのある場合には、忘れずに告げることが大切です。

徳島新聞2002年2月17日号より転載

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