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【質問】 茶色アザのレーザー治療

 娘のアザについて相談します。現在満1歳の娘は、生まれつき約2センチ×1センチほどの茶色のアザがあります。もちろん、そんな外見を気にせず、内面から美しい女性に成長してほしいと願っています。しかし、最近のレーザー治療でとれるものならとも思います。治療をする場合<1>何歳から始めるのがよいのでしょうか<2>首にアザがあるのですが、神経や太い血管への影響はありませんか<3>治療は何回、あるいは何年くらいで、苦痛はあるのでしょうか<4>治療費はいくらくらいで、保険は適用されますか。お教えください。



【答え】 扁平母斑(へんぺいぼはん) -痛みは軽いが再発も-

徳島大医学部附属病院 形成外科教授 中西 秀樹

 生まれつきのアザにはいろいろな種類があり、大まかに分けると、赤アザと呼ばれる「血管性疾患(血管腫=しゅ)」と、茶アザ、黒アザ、青アザと呼ばれる「色素性疾患(扁平母斑=へんぺいぼはん、色素性母斑、太田母斑)」があります。

 いずれも皮膚の比較的浅い場所(表皮、真皮)にわずかな変化があるだけですが、色の変化となって表れます。従って、気にならなければ特別な治療を行う必要はないと思います。しかし、色の変化が他の部位の皮膚と異なるために醜い状態と本人が感じたり、他人から指摘されたりすることで、コンプレックスの原因になることがあります。

 また、最近では家族がいじめの問題や本人の性格に与える影響を考えて、就学までに治療を希望されることが多くなっています。

 一般的なアザの治療法ですが、保存的な方法としてはアザを隠す目的で化粧品を用いる方法があり、外科的な方法としては、皮膚を移植する(植皮)▽皮膚を削り取る▽アザのまわりの皮膚を伸ばすためのバッグ(皮膚伸展器)を皮下に入れてアザを切り取る-などがあります。

 最近では、コンピューターで制御されたレーザー機器の発達によりアザのレーザー治療は著しく発達しています。しかし、レーザーがすべてのアザに効果があるわけではなく、またそれぞれのアザに適したレーザー機器を用いて治療しなければなりません。

 さて、質問のお子さんの場合です。生まれつきで茶色のアザとのことで、一般に茶アザと呼ばれますが、医学的には扁平母斑と思われます。

 レーザー治療の時期ですが、比較的早く治療します。全身麻酔ではなく局所の皮膚表面麻酔を用いますので、乳・幼児に行う場合は治療中に動かないような工夫ができる3歳以下の方が望ましく、1歳は治療時期と考えます。次に首にアザがあるために神経や血管に影響がないかとのことですが、レーザーは皮膚表面の数ミリと極めて浅い部位に熱を発生させて治療しますので、大切な神経や血管を傷つけません。

 ただ、最も気をつけなければならないのが、目にレーザー光を当てないことです。医師はそのことを分かっていて、特別に目を覆うような工夫をしていますので心配ありません。

 また、治療回数は、アザの大きさや性質によって異なるため、一様に答えることができません。この扁平母斑はアザとしては軽くて、皮膚表面に色がついているのですが、治療後に残った毛根などから再発するといわれています。

 しかし、1~2回のレーザー治療で完全に治る場合もあれば、10回以上行ってやっと薄くなって目立たなくなるなど、個人差があります。また痛みに関しては表面麻酔を用いて治療するために軽く、小学校1年生以上では我慢できます。

 治療費は、アザの種類によっては保険が認められていますが、この扁平母斑では今のところ保険ではなく自費診療です。施設によって治療費に差がでますので、よく説明をお聞きになって治療を受けてください。

徳島新聞1999年5月23日号より転載

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