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【質問】 気になる息子の足の痛み

 4歳の息子のことですが、生まれたときからX脚気味で、小児科で何度も相談しました。小さな子どもは多少X脚気味の子が多く、息子の場合も普通に生活していて平気なので、神経質にならなくてもいい、とのことでした。しかし、他の子と比べてX脚がひどいように思い、すごく気になり、整形外科でひざのレントゲンを撮りました。外見はX脚に見えても、骨に異常はないので大丈夫でしょう、と言われました。ところが、4歳になったころから、頻繁に右足のひざやすねの痛みを訴えるようになっています。やはり、X脚が原因になっているのでしょうか。とても心配です。



【答え】 小児のX脚 -心配せずに経過を見て-

板東整形外科院長 板東 祐和(板野郡藍住町東中富)

 お子さんのひざがO脚、X脚だと心配され、相談に来られるお母さんはしばしばいます。 質問の内容から推測しますと、お子さんは4歳で、生活面でも変わったことがなく平気なようですので、現時点では心配せず、当分の間、自然経過を見るとよいでしょう。しかし、右膝やすねの痛みについては、相談の内容だけではX脚によるものか、その他の原因によるものか、判断しかねます。

 そこで、小児のひざ関節の変形について、一般的なお話をします。新生児・乳幼児期に、軽度から中等度のO脚、X脚はよく見受けられるので、正常な状態といえます。これは、胎児が子宮内でどんな体位でいたか、などが原因と考えられています。

 多くは、2歳ごろまでがO脚傾向で、その後、足首の関節が外側に向く「外反傾向」になり、3~4歳でむしろX脚になります。その後「内反傾向」が現れ、15~16歳ごろに正常外反度(約3度)に近づきます。

 小児期のひざ関節の変形を診断するためには、正面を向いた状態で足の軸角度を知る必要があります。X脚の測定は、両足のひざの内側をつけて起立させ、左右のくるぶしの間の距離が10センチ以内か、それ以上あるかを調べます。さらに、正確には起立した姿勢で足全体のX線写真を撮り、垂直軸と、ひざから足首までの下腿(たい)軸との角度を測定し、15度以内を正常範囲とし、それ以上を病的としています。

【正常なX脚】

 2~6歳で15度までのX脚はよく見られます。普通、左右対称的で日常生活の活動で特に変わりなく、身長も平均的であれば、遅くとも7~8歳ごろまでには自然矯正されます。特に治療の必要性もなく、経過観察のみでよいでしょう。

 8歳を過ぎて存在するX脚はそのまま残ることが多く、少年期になって痛みや不安定な症状が出る場合は、「くさび状足底板」や「アーチパット」の矯正装具をつけ、症状を軽くするとよいでしょう。しかし、矯正装具の効果はあまり期待できません。

【病的なX脚】

 外反度が15度以上で、膝の内側のくるぶし間の距離が10センチ以上になると、ひざや足の痛み、疲れやすい、うまく走れないなど日常生活に支障が出ます。外反が左右対称でなかったり、身長が低いなどの症状があれば、病的なX脚を疑い、精密検査をする必要があります。

 特に10歳以上で、15~20度以上の変形を伴う重症の場合は、手術(内反骨切除)で矯正する必要があります。このような場合、装具療法は全く効果がありません。

 これらのことを十分考慮され、お子さんに心配な点があれば、整形外科専門医とよく相談して指導を受けられるとよいでしょう。

徳島新聞1999年4月4日号より転載

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