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徳島県小児科医会 日浦恭一

 熱性けいれんを何回も繰り返す場合には再発を予防します。再発の予防法として最も多く利用されているのは、発熱初期にジアゼパム坐剤を応急投与する方法です。熱性けいれんを持つ子どもの多くが医療機関で処方されていると思います。



 子どもの熱性けいれんを経験した人は二度と発作を見たくないと考えます。しかし熱性けいれんの再発率は30%ですから多くの場合には再発予防の処置は必要ありません。1回だけ起こったけいれんで発熱の度にその後何年間もジアゼパム坐剤を使用することは必要のない治療を続けているのかも知れません。

 熱性けいれんの中にはてんかんを発病しやすいタイプや、熱性けいれんが再発しやすいタイプがあります。それぞれのタイプに要注意因子があります。その要注意因子の有無によってその後のジアゼパム坐剤の投与を決定します。

 要注意因子には(1)発症前の神経学的な異常や発達遅滞があること。(2)非定型発作を示すこと。つまり部分発作や15~20分以上持続する発作や、または24時間以内に反復する発作。(3)両親や同胞にてんかんの家族歴があること。(4)1歳未満の発症であること。(5)両親または片親の熱性けいれんの既往があること。

 要注意因子がすべて陰性で発作が2回以下の場合には経過観察とします。発熱時にジアゼパム坐剤の投与が望ましいのは1回でも長く続く発作がある場合、要注意因子が2項目以上あること、短期間に発作が反復する場合です。さらに低い熱で発作が起こる場合やジアゼパム坐剤で発作が予防できない時には抗けいれん剤の持続内服が勧められます。

徳島新聞2012年7月25日掲載

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