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徳島県小児科医会 日浦恭一

 夜が明けると自然に目覚め、暗くなると眠くなるような睡眠と覚醒の変化は24時間のリズムで、からだの生理的なリズムの基本です。このリズムはサーカディアンリズムと呼ばれ、脳の視床下部にある生体時計に支配されていて、持って生まれた時計遺伝子によって発現されるものです。



 しかし新生児期には24時間のリズムはそれほど明確なものではありません。生後2~3カ月までは1日中寝たり起きたりしているように見えます。睡眠リズムが明らかになるには、出生後に規則的な生活を送ることが大切です。社会のリズムと睡眠のリズムが一致することで、体温変動や内分泌機能などの生理機能のリズム変動も明確になります。

 私たちの生活が不規則になると、社会リズムと睡眠リズムの間にズレが生じます。これは一種の時差と考えられます。この時差は睡眠だけでなく、他の生理現象のリズム間にも生じます。その結果、からだは大変な不調を感じるのです。外国旅行などで急激に生じた時差は眠気や倦怠感が主なものですが、不規則な生活から徐々に生じた体内リズムの時差は様々な体調不良の原因になります。

 私たちの生体リズムは約25時間の周期を持って変動します。社会生活は約24時間で変化します。夜更かしは本来の人のリズムに従ったものですから無理なくできます。しかし夜更かしを続けることで取り返しのつかない異常な状態になってしまうこともあります。睡眠だけでなく体温や内分泌機能のリズムを正しく維持するには規則正しい生活を送る努力が必要なのです。

徳島新聞2011年2月23日掲載

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