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徳島県小児科医会 日浦恭一

 昔から「寝る子は育つ」ということわざがあります。よく眠る子どもは成長ホルモンがたっぷり出て、すくすく成長します。さらにぐっすり眠ることで毎日の健康な生活が維持されます。スヤスヤ寝息もたてずに眠っている子どもの寝顔を見ていると苦労も忘れてしまいます。睡眠は健康な生活になくてはならない生理的な現象です。良い睡眠は精神の安定にも欠かすことができません。



 睡眠は単なるからだの休息のために取るものではありません。肉体は睡眠中に活動を休止していますが、脳を含めた体内の諸臓器は活発に働いています。睡眠は人のからだの疲労が蓄積しないために生理機能を調節する重要な現象であり、翌日の活動のためや成長発達に必要な物質を供給するための重要な機能です。からだが休んでいる間にも脳では重要な活動が継続して行われているのです。
 
 睡眠を支配する中枢は主として脳の視床下部です。視床下部には内分泌や体温調節の中枢もありますから、睡眠と内分泌や体温は一定の関係を保って変動します。睡眠に障害があれば内分泌機能や体温調節機能にも異常が発生し、そのために体調が悪くなります。

 近頃、重要な役割を担っている睡眠を大切にしない人が多くなっています。とくに子どもの睡眠がないがしろにされているように感じられます。子どもの睡眠が疎かにされると、子どもの正しい成長発達に大きな差しさわりが生じることが予想されます。今月は睡眠の特徴や重要性について考えてみました。

徳島新聞2011年2月9日掲載

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