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 今年は新世紀のスタートの年である。20世紀は科学技術の時代とも言われ、医学の分野でも目覚ましい進歩がもたらされた。成果の一つに痘瘡の根絶がある。ご存じのようにイギリスの開業医エドワード・ジェンナーが子どもに牛痘苗を接種した1796年に痘瘡根絶への人類の挑戦が始まった。それから170年後の1967年にWHOは痘瘡根絶十年計画を策定し、計画どおりの1977年のソマリアでの一例を最後に、有史以来人類を苦しめてきた痘瘡は地球上からなくなり、1980年には根絶宣言がなされた。この輝かしい成果の後継事業として、1988年にWHOは2000年までに、ポリオ根絶を目標に掲げ行動に移した。そして2000年10月にはWHOは我が国が属している西太平洋地域でポリオが根絶されたことを認定した。これはアメリカ地域に継ぐ快挙であり、21世紀の早い時期に痘瘡に続き、地球規模での根絶宣言の朗報が聞かれると確信する。

 次に第三の根絶目標疾患として、安全で予防効果の高いワクチンが開発されているハシカが考えられている。アメリカではワクチンの再接種や接種率の向上対策が精力的にとられていて、ハシカの集団的発生はなくなり、患者数は激減している。一方、我が国のワクチン接種率は流行を完全に阻止できるレベルには達しておらず、毎年各地で小規模な流行が繰り返されている。又、発展途上国とりわけ紛争地域ではまだまだハシカが蔓延しており、多くの子ども達が犠牲になっている。しかし地球上から扮そうがなくなり、世界の軍事費の数パーセントの資金があれば、今世紀の遅くない時期に根絶出来るだろう。新世紀の医学の進歩が21世紀の主役である子ども達の健康で幸せな生活に貢献できることを期待したい。

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