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【質問】 10歳の娘 急激に視力低下

 10歳の娘のことで相談します。ゲームばかりしているからでしょうか、視力が急激に落ちてしまいました。眼鏡が必要なくらいで、黒板の文字がよく見えない様子です。近視の場合、初期に治療を受ければ、視力は回復すると聞いたことがありますが、本当でしょうか。もし、今、使うのであれば、娘は「眼鏡よりもコンタクトレンズを使用したい」というのですが、コンタクトの使用を始めるには、年齢が早いように思います。適切な時期があるのでしょうか。教えてください。



【答え】 近視とコンタクトレンズ -早期からの使用は控えて-

賀島眼科 賀島 正博(阿南市富岡町玉塚)

 【子どもの視力回復】 多くの子どもは、遠視で生まれ、年齢が進むにつれて遠視が軽減し、6歳ごろには多くの子どもが正視になります。そして小学校の学年が進むにつれて近視の子どもが増え、中学生になると30%以上の子どもが近視になります。

 視力については、生まれた直後はほとんど見えませんが、だんだんと発達し、1歳では0.2~0.3、3歳では0.7~1.0、6歳までにほとんどの子どもが1.2まで見えるようになります。質問によると「10歳の子どもが急に視力が低下した」とのことなので、多分近視になって視力が低下したのではないかと推定されます。

 近視の原因として、一般的に、遺伝的要因と環境的要因が考えられています。近視には、幼児期から始まり、近視の度が強く、眼球に病的変化を伴い、遺伝的要因の強い近視(病的近視)と、学齢期に始まり、近視の度が弱く、眼球に病的変化がなく、環境的要因によって誘発されたと考えられる近視(学校近視、単純近視)とがあります。質問のケースは「ゲームばかりして視力が急に落ちた」とのことですので、環境的要因が引き起こした単純近視の可能性が高いと思います。

 当然のことながら、遺伝的要因の強い病的近視は、訓練や点眼薬などの治療で視力が回復することはありません。しかし、近視の度が弱い初期の単純近視(学校近視)は、適当な訓練、治療、生活習慣や環境の改善などによって、視力が改善することがあります。改善が見られない場合でも、視力低下が阻止されることもあります。単純近視と考えられるものでも、遺伝的要因の強いものは、単なる治療では視力は回復しません。

 【子どものコンタクトレンズ(CL)使用】 現在のところ、CLは大体、中学生になってから使用するのがよいと考えられています。理由はCLを自分で清潔に管理し、使用によって生ずる危険を避け、安全に使うためにはある程度の年齢が必要と考えられているからです。

 危険の一つは、CL使用によって生じた角膜の傷に細菌が感染し、角膜潰瘍(かいよう)が起こってくる場合です。角膜潰瘍は、放置すれば失明の危険もあります。その点、眼鏡は、小学生でも特別な危険もなく使えます。もちろん、保護者が注意してCLを管理し、慎重に使用すれば、小学生でも高学年になれば使えないことはありません。一生の長きにわたってCLを使用することを考えると、あまり早くから使わない方が医学的にも望ましいといえます。

 小学生に、眼鏡の使用を嫌がる人が多いことを考えると、次のような方法が考えられます。小学生のときは、できるだけ早く視力の低下を見つけて、早期に望遠訓練、治療、生活習慣や環境の改善などを行い、視力の低下を防ぎます。それでも黒板の字が見えにくくなれば、小学校では席を前に替えてもらえる場合もあります。中学生になれば、眼鏡が嫌だったり、スポーツなどで眼鏡をかけていると都合が悪かったりするのなら、そのときにCLの使用を始めればよいと思います。

 いずれにしろ、近くの眼科医に相談すれば、検査の結果によって、適切なアドバイスが得られると思います。

徳島新聞2004年12月19日号より転載

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