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【質問】 白目部分の血痕は大丈夫?

 52歳の女性です。目の白い部分の血管から少し出血したことがあり、血痕が5~6ミリくらい残りました。目がかゆいような、痛いような気がして数分後に見ると、そうなっていました。血管が破れたのか。何回か出血がありましたが、目も見えるし、数日で血痕も消えるので病院には行ってません。そのままにしておいていいのでしょうか?



【答え】 結膜下出血 -繰り返す場合は治療を-

いわき眼科 槃木 弘(三好郡三加茂町加茂)


結膜下出血

 質問の女性のように、目の白い部分が真っ赤になる場合を「結膜下出血」といいます。白目の表面にある半透明の膜を「球結膜」といい、この中を通っている血管が破れることにより発症します。一般的には自覚症状がなく突然発症しますが、軽度の異物感などを訴える人もいます。自分で鏡を見たり、他人に指摘されたりして初めて白目の部分が真っ赤になっているのに気付き、救急で眼科を受診する人もいます。出血自体は通常1~2週間程度で自然に吸収されるので特別な治療を必要としませんが、何度も繰り返す場合には注意が必要です。

【結膜下出血の原因】

 原因はさまざまですが、次のようなものがあります。

 〈外傷性〉眼球打撲や穿孔(せんこう)性眼外傷で出血を生じますが、顔面骨折などでも出血を認めることがあります。

 〈全身疾患〉高血圧、動脈硬化、高脂血症、糖尿病、肝疾患、血液疾患などがある人や、抗凝固剤などの薬を服用している人は出血が生じやすいと考えられます。

 〈還流圧の上昇〉重い物を持ち上げようとしたときや、強い痛みを耐えたとき、出産時などの「いきみ」などによって、急激に静脈系の還流圧が上昇して出血が生じます。

 〈特発性〉全身的な危険因子のない人に生じる原因不明のものですが、実際には一番多く見られ、最近では「球結膜弛緩(しかん)」が関係しているのではないかと考えられます。

【特発性結膜下出血と球結膜弛緩】

 加齢によって体のいろいろな部分に老化現象が生じるように、球結膜にも老化現象が見られます。これは加齢によって皮膚がたるむのと同じで、球結膜もたるんで「しわ」が生じます。これが球結膜弛緩で、一般的には40歳ころから認められ、50~60歳ころまでに弛緩はさらに進行します。

 この弛緩した球結膜の中にある血管も同様にくねくねと屈曲した状態になり、まばたきの際に血管が折り曲げられたり、伸ばされたりすることによって出血します。また、夜更かしや長時間の読書によって目が乾燥状態になり、まぶたと球結膜の摩擦が上昇すると、より出血しやすい状態になります。

 質問の女性の場合、何回か結膜下出血を起こしていると思われますので、一度眼科専門医を受診され、必要ならば全身疾患の有無を検索することを勧めます。

徳島新聞2003年3月30日号より転載

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