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【質問】「緑内障に注意」と言われた

 60代後半の女性です。3年前に眼科で「眼圧が高いので緑内障に気をつけて」と言われ、それから年に1回は眼圧を測っています。最近の眼圧は22~23mmHg(ミリ水銀柱)でした。読書が趣味で、今のところ不自由はありませんが、今後どのような点に注意したらよいでしょうか。

 秦眼科 秦裕子 先生

 【回答】定期検査で経過観察

 眼圧の正常値は10~21mmHgで、眼圧が高い人の方が、正常な人よりも緑内障の危険性が高いことが分かっています。しかし、眼圧が21mmHgを超えると必ず緑内障になるわけではありません。

 視神経が圧力に強いか弱いかには個人差があります。眼圧が正常でも、脆弱(ぜいじゃく)な視神経(もともと弱い神経)であれば、緑内障を発症することがあります。これを正常眼圧緑内障と言い、日本人に最も多い緑内障の病型(種類)です。逆に視神経が強い場合には、眼圧が少々高くても視神経障害が起こりにくく、視野は正常のまま維持することがあります。これを高眼圧症と言います。

 高眼圧症の場合、眼圧を何回か測定した結果、正常よりやや高い程度であれば、無治療で経過観察を行います。数カ月に1回は眼圧を測定して、緑内障になっていないか、眼圧がさらに上がっていないかを検査します。眼圧測定の際は、ギュッと目を閉じ過ぎると本当の値より高めの値が出ますので、なるべく楽に目を開けた状態で眼圧測定に臨みましょう。

 経過観察の結果、わずかでも緑内障性変化が出始めた場合は、点眼治療を始めます。これが緑内障の早期発見ということです。点眼は、眼圧を下げて緑内障の進行を予防する目的で使用します。長い間受診していなければこのような早期発見ができないことがありますから、主治医の先生にどのくらいの間隔でチェックすればよいかを聞いておきましょう。

 眼圧がかなり高い場合は、予防的に緑内障点眼を始めることもあります。眼圧は高ければ高いほど緑内障の発症リスクが高いためです。また精密検査の結果、視神経が弱そうであれば、予防的に緑内障点眼を始めることもあります。特に近視が強い方は、視神経がさほど強くないことが多く、積極的に治療開始となることが多いと考えられます。

 その他、眼圧が季節によって変化しているのか、家族歴や年齢など、さまざまな要素を検討しながら、患者さんの希望も加味しつつ、治療方針が決まります。また、多くはありませんが、途中から炎症など別の原因が現れ、その原因に対する治療を組み合わせていく場合もあります。

 最後に日常生活についてですが、高眼圧症であれば、本人が特別に気をつけなければいけないことはありません。大量の水分を短時間に飲むと眼圧が上昇することはありますが、そのように極端なことをしなければ、日常生活で水分を控える必要はありません。読書も疲れない程度にしていただいてかまいません。

 ただ、狭隅角(きょうぐうかく)や閉塞(へいそく)隅角という種類なら、色々と日常生活で気をつけることがあります。主治医の先生から特に注意がなければ通常の生活をしていただいてかまいません。

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