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【質問】手術に不安を感じる
 40代の男性です。1年前から右目の黒目の内側が充血するようになりました。市販の目薬をさしていましたが、だんだん違和感が増してきたので眼科に行くと、翼状片と診断されました。点眼薬を処方されて経過を見ているところですが、手術の必要があるようです。どのような手術になるのか不安が募ります。手術をすれば完治するのでしょうか。

 

医療法人いわき眼科  槃木弘理事長

【答え】再発予防へ術後管理を    

翼状片とは、結膜(白目の表面にある半透明の粘膜)が角膜(黒目)の内側、まれに外側から角膜の中心に向かって伸びてくるもので、中高齢者に多く見られます。紫外線やほこり、機械的刺激などが原因と考えられており、屋外で労働される方や熱帯地方に住んでいる人によく見られます。良性の疾患ですが手術をしても再発しやすいのが特徴です。  症状として、結膜の充血やごみが入ったような異物感などが出てきます。翼状片が進行するにつれて物が二重に見える乱視が出てきたり、角膜の中心まで進行したりした場合は重度の視力障害を起こします。  治療についてですが、翼状片はゆっくりと症状が進行します。残念ながら、現在のところ進行を抑える薬はありません。異物感などの自覚症状がある場合には、症状を抑える点眼薬を用いることもあります。  角膜の中央まで進行してしまうと、たとえ手術をしても角膜に濁りが残ってしまうことがあり、逆に若い人は再発する確率が高いため、ある程度、進行した時点で手術を行います。翼状片の先端がおよそ角膜の直径の4分の1から3分の1に達した時点で手術をするのが良いとされています。再発しなければ完治します。  手術は通常、日帰り手術を局所麻酔で行います。手術時間は術式によって異なりますが、20分前後かかります。翼状片を単純に切除するだけでは再発しやすくなるので、切除した部分を正常な結膜によって覆う結膜弁移植術を行います。  年齢が若い人や重症の場合には、手術中にマイトマイシンCという薬剤を用いることもあります。この薬剤は細胞の異常増殖を抑制する働きがあり、翼状片の再発を抑える効果があります。まれに強膜(白目)が薄くなるという副作用もあり、術後長期間の経過観察が必要です。  翼状片の再発は手術後数カ月以内に生じ、急速に進行します。重症例には羊膜移植術や角膜上皮形成術などを行います。  翼状片の手術は比較的安全で、手術時間も短時間で終わりますが、手術後の再発を予防するために、しっかりとした術後管理が必要です。また手術時期が遅れると、視力障害が残ってしまうこともあるため、翼状片がある人は定期的な眼科受診をお勧めします。

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【写真説明】翼状片を発症した目
© TOKUSHIMA MEDICAL ASSOCIATION.