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【答え】 レイノー症候群 -器質的疾患の恐れも-

岡川内科 院長 岡川 和人(徳島市住吉1丁目

 寒い季節になると手が冷たくなる、さらに温まると元に戻るという症状から、まずは「レイノー症候群」ではないかと思われます。指尖(しせん)容積脈波や皮膚体温の検査(サーモグラフィー)をしてみることをお勧めします。

 レイノー症候群の原因はいろいろありますが、手の最小血管がけいれんして収縮し、血流が滞るためにそう白となり、手がしびれて痛みを感じる病気です。暖かくなると血流が回復するため、手は元通りになります。

 原因のないレイノー症候群をレイノー病といいますが、多くは何らかの原因があります。私の経験から主に2つが考えられます。一つは膠原(こうげん)病です。強皮症や混合性結合組織病(MCTD)にレイノー症状がよく合併して起こるのです。もう一つは多発性骨髄種やマクログロブリン血症という、免疫グロブリンが腫瘍(しゅよう)増殖する血液のがんです。免疫グロブリンは、ときとして血液の密度を濃くして粘くする性質があり、冷えるとさらに血流を妨げる性質を持つことがあるのです。

 貧血気味といわれているそうですが、こうした血液に異常のあることが、そういった病気を考える要因にもなっています。余談ですが、「血液比重が10.8程度」といわれているとのことですが、血液比重にこういう数字はありません。「血色素(ヘモグロビン)という貧血を表す数字が10.8グラム/dlですよ」といわれたのだと思います。

 ここで気になるのは、左手だけにレイノー症状を訴えていることです。一般に私たちは両手を同じように訴えるケースをよく経験しています。あなたの場合のように左右差がある場合は、器質的疾患があるのでは、と考えられます。それは片方の手の血流が途絶える病気、すなわち閉塞(へいそく)性動脈硬化症や胸郭出口症候群とかいった病状です。これは内科の病気というよりも、血管外科や整形外科の医師の範囲になります。しかし、寒い季節に限ってレイノー症状が出るというのであれば、やはり内科的な病気ということになるでしょう。

 いずれにしても内科の専門家に相談することです。それから場合によっては外科の医師も紹介してもらうことをお勧めします。もし、原因が内科的な疾患であれば、原疾患の治療をしなければなりません。外科的処置が必要なら、それで病態は改善されるでしょう。

 原因となる原疾患がなければ、レイノー病ということになると思います。この場合の治療法は手を冷たくしなければいいのであって、洗い物にお湯を使うとか、生活に工夫してください。

 薬としては血管を拡張するような薬(カルシウム拮抗薬やα1遮断薬)や、血流をよくする抗血小板薬などを試してみるとよいでしょう。ただし、私の経験では、あまり効果はないように思います。しかし、レイノー病はそれ自身、予後は良好で決して悪くはなりません。専門医とよく相談して、不安の除去に努めることが大切でしょう。

徳島新聞2001年2月11日号より転載

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