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【回答】 近視と加齢 -緑内障・白内障の可能性も-

かまだ眼科院長 鎌田泰夫(板野郡松茂町中喜来)

 今、使っているコンタクトレンズの見え方が低下してきたそうですが、2つのケースが考えられます。以前に比べて近視が進んだため、コンタクトレンズの度数が合わなくなって見え方が低下したケースと、度数は合っているものの、近視の進行以外の原因で見え方が低下したケースで、その鑑別が必要です。

 後者の場合は、治療が必要な目の病気の可能性もあります。例えば、日本人の失明の原因の第1位である緑内障は40代で発症することが多いです。40歳以上の17人に1人は緑内障があり、ほとんどが未発見のまま放置されているという報告もあります。まずは眼科専門医に相談して、見え方の低下が目の病気と関係していないか診察を受けてください。

 近視とは、遠くのものがぼやけて見え、近くにしかピントが合わない状態です。一般的には、眼球の大きさが少し大きいために、遠方から入ってきた光が、目のレンズ(角膜と水晶体)を通って光を感じるフィルム(網膜)の前で焦点が合い、網膜の上ではピンぼけの像になっている状態です。眼鏡やコンタクトの凹レンズで、網膜の上にピントを合わせて矯正します。

 近視は一般的に、小中学生のころから始まり、体格の成長とともに徐々に進行して、20代半ばで止まるといわれてきました。ただ、現代は深夜まで明るい照明の部屋で目を使い、携帯電話やパソコン、ゲーム機器の画面を見つめる生活で目を酷使し、30~40代でも近視が進むことは少なくありません。

 ご質問のように、近視の進行で遠方が見えにくく生活や仕事に不便なのであれば、コンタクトレンズの度数を今より少し強くすれば遠方は見やすくなります。ただ、多くの方は40歳ごろから手元の小さな文字が見えにくくなり、老眼を意識させられます。レンズの度数を強くすると遠方が見やすくなる代わりに、どうしても老眼の症状を自覚しやすくなります。生活様式に合うのであれば、近くを見るときに楽な今のままのコンタクトレンズでも悪くはないと思われます。

 遠近両用のコンタクトレンズですが、老眼鏡を使わずに、近くと遠くの視力を一つのコンタクトレンズで矯正するものが近年あります。一つのレンズに、遠方と近方を見るためのレンズが張り付いたようなもので、老眼になってもコンタクトを使いたい方や、仕事の関係で眼鏡が掛けられない方などにお勧めです。

 ただ、遠近両用レンズの構造上、目に入る光の半分が近方、半分が遠方に振り分けられるため、普通のコンタクトレンズに比べて遠くも近くもクリアには見えず、全体的に暗く見える弱点があります。試しに使って見え方に妥協ができるのなら、遠近両用コンタクトレンズもいいと思います。

 他にも、白内障(水晶体の病気)の出現で近視が進むことがあります。また、急激に近視が進む場合は、円錐(えんすい)角膜などの目の病気や糖尿病など全身の病気が原因のことも考えられます。コンタクトレンズが合わなくなったといっても、重大な目の病気が関係していることがあります。必ず眼科専門医に相談して適切な診断と治療を受けてください。

徳島新聞2011年1月16日号より転載

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