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【答え】 「うつ病かな」と思ったら -早期に専門医と相談を-

四国共立病院 院長 坂本 哲郎(三好郡池田町シンヤマ)

 まず、うつ病あるいはうつ状態について簡単に説明します。うつ病は気分の病的状態で「憂うつ」とか「つらくて寂しい」など気分が落ち込む症状が現れます。質問にあるような「おっくうである」「面倒くさい」などの意欲低下、考えや身体が前に進まない症状になることもあります。

 さらに、不安やイライラなどの症状に加え、さまざまな身体の症状(食欲低下、体重減少、性欲減退、自律神経失調症)や睡眠障害(特徴的には朝早く目が覚める早朝覚せい)が出現します。また「午前中は調子が悪いが、午後から回復する」といった症状の日内変動もみられます。一過性で軽い症状は、ほとんどの人が一生のうちに何度かは経験するもので「心の風邪」ともいわれています。

 さて、相談の内容から確かに軽い抑うつ状態にあるのかもしれませんが、うつ病なのかどうかは、これだけの情報から判断することは不可能です。いずれにしろ、身体の病であれ、心の病であれ、早期診断・早期治療が重要であることには変わりありませんので、早めに精神科の医師に相談されてはいかがでしょうか。

 以前は精神科といえば、いわゆる精神病院しかありませんでしたが、現在はたくさんの精神科クリニックが開設され、随分と敷居が低くなっていると思います。ほかに、心療内科や脳神経外科、神経内科などもありますが、やはり精神科の医師に相談するのがよいと思われます。

 次に「うつ病かな」と思ったときの一般的な対処について説明します。ぐずぐずと思い悩んでいるうちに症状はどんどん悪化することがあるので、早期に専門医に相談して、薬物療法が必要と判断されたら、きちんと薬を服用してください。

 最近は、SSRIとかSNRIなどの新しい坑うつ薬が主流になっていますが、以前の坑うつ薬と比較すると効果はほぼ同等で、安全性は格段に高くなっていますので、安心して服用してください。

 日常生活では、まず休養をとることが一番大事です。自分にむち打って、仕事や学業、家事を続けることは避けましょう。また、家族や職場などの周囲の人は、どうしても元気づけたり、叱咤(しった)激励したり、過剰に慰めたりしがちですが、温かく見守ってあげる態度が必要です。できれば、身分の保証をした上で、十分な期間の休暇を取らせてあげてください。退職や退学などの重大な決定はしないようにしましょう。

 症状がよくなりかけてもすぐに治療をやめないで、十分な「地固め」治療を受けてください。焦りは禁物です。うつ病では自殺という大きな問題があり、発症初期と特に回復期に自殺がみられることが多いので、注意してください。

 最後に、あなたは年齢からみていわゆる更年期障害の可能性も否定できません。一度、婦人科でホルモン検査を受けてみることも必要かもしれません。

徳島新聞2004年12月12日号より転載

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