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【答え】 発作性上室性頻拍症 -まずは薬物療法を-

徳島赤十字病院 細川 忍

  「発作性上室性頻拍症」は、上室性期外収縮(脈の乱れ)が3拍以上連続するものと定義されます。自覚症状としては動悸(どうき)や胸部不快感を訴えることが多く、長引くと不安や気分不良などが生じます。しかし、心臓自体に異常のない場合は、数時間ないし、数日間続いても、重篤な状態に陥ることはまずありません。

 治療には息止め、冷水を飲む、頚(けい)動脈洞のマッサージ(頚動脈を首の中ほどで圧迫)、眼球圧迫などによる迷走神経の刺激で頻拍を停止させる理学的方法が、自宅でもできる簡単な治療法としてあります。しかし、薬剤治療の方が確実です。

 従って重篤な心疾患がなく、血圧低下や心不全に陥っていない場合は、迷走神経刺激法、薬物療法を順次行います。これによって90%以上、頻拍は停止しますが、無効な場合には緊急ペーシング法や直流通電法という治療が用いられます。血圧低下状態では、直ちに直流通電法を行います。また、薬剤が効きにくい場合には、カテーテルアブレーション法や外科手術が行われます。

 カテーテルアブレーション法とは、カテーテル(二ミリ程度の細い管)の先端の電極を通じて高周波エネルギーを加え、電極周囲に熱を発生させて異常な心筋組織を物理的に変性させる方法です。疾患にもよりますが、一般的に成功率は90%以上、慢性期再発率は10%以下、合併症発生率は4%以下とされています。

 成功すれば完全に治るため、第一選択の治療として考える施設もあります。費用は約100万円近くかかりますが、医療保険と高額医療の手続きで自己負担は10万円以下になります。

 質問の女性の場合、年数回の発作であれば少なくとも薬物療法でコントロールできると考えられます。また、発作の誘因としては情動、運動、過呼吸、過労、コーヒーやアルコールの過剰摂取などが挙げられます。

 まずは、生活習慣を見直し、薬物療法を施行してみてはいかがでしょうか。もしそれでも、発作のコントロールが困難だったり、完全に治したいのであれば、カテーテルアブレーション法を検討してもいいと思います。

徳島新聞2002年10月6日号より転載

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