乾燥肌のかゆみ防ぐには
【質問】30代の女性です。冷え性なので寒い日は暖かい格好をして寝るのですが、肌がかさかさになって全身がかゆくなることがあります。日中は、ストッキングや靴下をはいていると、締め付けられる部分がかゆくなります。肌が乾燥すると、なぜかゆみが出るのでしょうか。また、肌のかゆみを防ぐには、普段の生活でどのようなことに気を付ければいいのでしょうか。
大島三佳 先生 おおしま内科皮フ科クリニック
保湿剤で皮膚に潤いを
【答え】寒さが厳しくなり、すっかり冬になりました。気温が低下して外気が乾燥すると、発汗量(汗をかく量)が減ります。部屋の中でも、暖房を効かせることで湿度が下がります。冬は屋外か室内かを問わず、肌が乾燥しやすい時季なのです。
季節のせいだけではなく、私たちの皮膚は年齢とともに乾燥しやすい肌質に変わります。それは、皮膚のバリア機能(皮脂や天然保湿因子などで肌の水分を保つ力)が低下するからです。乾燥がひどくなると、皮膚の表面にひび割れができ、外からの刺激を受けやすくなります。バリア機能が低下すると、かゆみを伝える神経線維が皮膚の表面近くまで伸び、かゆみを感じやすくなってしまいます。このような皮膚の状態を「ドライスキン」と呼びます。
皮膚の乾燥を治めるには保湿が一番です。ヘパリン類似物質や尿素など優れた保湿成分を含む保湿剤を塗り、皮膚に潤いを与えることが大切です。保湿剤には皮膚の水分が逃げてしまわないように「フタ」をする働きと、皮膚そのものに水分を与える働きがあります。
保湿剤を使う際は手のひらを使って、やさしく丁寧に塗りましょう。「肌の奥まで塗り込もう」と薬を擦り込むように塗ると、かえって皮膚を傷つけることがあります。注意してください。
乾燥がひどくなると、皮膚にかゆみが出てきます。かゆみが我慢できなくなると手でかくため、皮膚の細胞が傷つき、赤みやブツブツなどの皮疹ができてしまいます。皮疹が悪化するとさらにかゆみが強くなり、またかいてしまう-という悪循環になってしまいます。
症状が進行して皮膚炎を起こすと「皮脂欠乏性湿疹」と呼ばれる状態になります。皮膚炎の改善には保湿だけでは不十分で、炎症を抑えるためにステロイド外用薬(塗り薬)による治療が必要です。かゆみがひどい場合は、抗アレルギー薬という飲み薬も使用することがあります。
寒さや乾燥に負けない健やかな肌を保つため、普段の生活でできることから始めてください≪表参照≫。肌の乾燥やかゆみでお悩みの場合は、症状を悪化させないためにも皮膚科を受診してください。