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疲労時に嘔吐伴う
 【質問】67歳の女性です。若い頃から疲れると目まいが始まり、嘔吐(おうと)を伴います。布団で寝ていても目まいが起き、目をつむっていても目が回ります。病院に1週間入院して点滴をするとその場は治るのですが、疲れると同じ状態を繰り返します。年齢とともに回数は多くなり、体力は低下しています。肩凝りも伴います。嘔吐止めの薬は全く効きません。何か改善方法はないですか。現在、仕事はしていません。
 

  せきね耳鼻咽喉科 関根和教 先生
 生活改善で緩和の場合も
 【答え】質問に「布団で寝ていても目まいが起き、目をつむっていても目が回る」とあるので、頭を振ったり動かしたりといった外的な要因がない場合でも起きる持続性の回転性目まいと思われます。
 回転性目まいは、片側の耳の内耳前庭(三半規管と耳石器)、目まいの神経(内耳神経を構成する一つである前庭神経)の働きが何らかの疾患で、急激にバランスを崩して発症します。そのため、耳の異常が原因であることが多いのです。脳の異常でも回転性目まいが起きることがあります。しかし、繰り返し目まいが起き、しびれや頭痛、まひなどの目まい以外の症状がないとしたら、脳の異常が原因である可能性は低いと思います。
 持続性の回転性目まいで、難聴や脳神経症状がないとしたら、一過性の片側前庭障害を起こすような疾患として、メニエール病非定型例前庭型、神経血管圧迫症候群、良性再発性目まい症などが考えられます。ただ、診断のためには検査所見も合わせてみる必要があるので、かかりつけ医に相談してください。
 質問者は難治性で一過性の片側前庭障害を繰り返しているようです。目まいのコントロールを目的とした場合、保存的治療と外科的治療があります。
 保存的治療としては、目まいは確実に予防できるわけではありません。規則正しい食事と十分な睡眠をとるように心掛け、適度な運動や趣味を楽しむなどして気分転換することをお勧めします。ストレスや不安など心因的要素、肩凝りは目まい症状を悪化させることがあります。目まいが起こったときは静かな所で横になり、楽な姿勢をとってください。ある程度落ち着いたら寝込まずに、できるだけ動くようにした方がよいでしょう。
 外科的治療は、保存的治療を行っても目まいを頻繁に繰り返してコントロールできない場合に検討します。治療としてはゲンタマイシン鼓室内注入法があります。鼓膜の奥に耳の働きを抑える薬ゲンタマイシンを注入して、内耳の過剰な反応を抑える治療法です。難治性の目まいには有効な例が報告されていますが、治療後に聴力低下やフラフラ感が続く可能性もあり、十分理解した上で慎重に判断すべきです。
 目まいの治療は原因と症状によって多岐にわたります。そのため、患者に対して一律に治療方法を論じることはできません。患者にとって何が望ましいか、かかりつけ医と相談しながら決めていくことが大切です。

 

【写真説明】内耳の仕組みと働き
20170513

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