口の渇きが激しい
【質問】69歳女性です。加齢とともに寝起きに口がすごく渇いて困っています。口にテープを張って寝ていますが効果はありません。寝る前と寝起きには水分を取っています。何かいい対策があれば教えてください。
唾液分泌量の検査を
【答え】徳島大医学部耳鼻咽喉科助教 松田和徳 先生
口の渇きには、唾液が深く関与しており、健康に不可欠なものです。唾液は、主に耳下腺、顎下腺、舌下腺などの大唾液腺から分泌します。その量は1日で1~1・5リットルとされています。しかし、唾液が不足すると、口の渇きだけでなく、食べ物がのみ込みにくい、味が分かりにくい、舌が痛いといった症状を生じることがあります。唾液量が減少し、口の中にさまざまな問題が出る病気を口腔乾燥症(ドライマウス)と言います。高齢者の約4割は口腔乾燥症を自覚しているとの報告があり、口腔乾燥症に悩んでいる患者は少なくありません。
唾液量減少の原因は、糖尿病などの全身疾患、加齢による唾液腺機能の低下、薬の副作用、口呼吸、精神的緊張やストレスのほか、口腔乾燥症に加えて目の乾燥(ドライアイ)を伴うシェーグレン症候群という自己免疫疾患があります。また、口や喉のがんに対して放射線治療を行ったことがある人は、放射線の影響で唾液腺機能が低下し唾液が出にくくなります。
唾液の分泌量を測定することで唾液分泌低下を診断します。身体に負担がかかる検査ではありません。受けたことがないなら診断を目的に唾液分泌量の検査を受けてください。
原因として多いのは加齢と薬の副作用です。唾液分泌を低下させる薬(抗不安薬、抗うつ薬、利尿薬など)を服用しているかを調べることが重要です。
さらに、相談者のような中高年女性の場合はシェーグレン症候群の可能性があります。血液検査の必要があるかもしれません。
口の乾燥を改善する対処法は、保湿成分入りの口腔湿潤ケア剤や人工唾液などのスプレーを用いて口の中を保湿します。
さらに、唾液分泌を促進する作用のある内服薬による薬物療法を行う場合もあります。
原因が薬による場合は副作用の少ない薬への変更や減量、中止を担当医師と相談しましょう。
まずは、診断を受けて原因を特定するため、耳鼻咽喉科を受診してください。