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【質問】 日焼けや加齢で幾つも

 30代の女性です。顔に大小幾つものシミがあります。生まれつきのもののほか、日焼けや加齢によるものもあります。レーザーやクリームで取ることはできますか。



【答え】 顔のシミ -美白化粧品やレーザー治療-

徳島大学病院 形成外科・美容外科 大川勝正

 30歳を過ぎるころからシミが増え始め、気にされる方は多いと思います。

 一般的にいわれるシミの正体は、皮膚の浅い部分に蓄積したメラニンという色素です。年齢とともに皮膚の代謝が衰え、メラニン色素が皮膚の表面に蓄積しやすい状態になります。加えて、紫外線を浴びたり、皮膚が炎症を起こしたりすると、メラニン色素を作る作用を持つメラノサイトという細胞が活性化されます。部分的にメラノサイトが活性化されると、メラニン色素が多く生成され、その部分がシミになります。

 従って、シミを作らないためには紫外線対策と肌の老化対策が重要です。紫外線はメラノサイトを活性化させるだけでなく、皮膚の深い部分まで到達して皮膚の細胞を傷つけ、肌のトラブルを起こす原因となります。これを光老化と呼びます。肌の老化要因は、加齢よりも光老化の方が大きいといわれ、1年を通して紫外線対策を行う必要があります。

 光老化以外にも、▽過度のスキンケアによる過剰な刺激▽不規則な生活▽ストレス▽ホルモンバランスの乱れ▽内臓のトラブル▽喫煙-などは、肌の老化を進める要因となります。治療後に再発するのは、これらの要因でシミが新しく作られるためです。年齢を重ねても美しい肌を守るために、紫外線対策と正しいスキンケアを行い、規則正しい生活を送りましょう。

 シミには、美白化粧品で消えるものと、医師の治療でしか消せないものがあります。美白化粧品の主な作用は、メラニン色素の産生を抑えることで、紫外線を浴びてできたばかりのシミや、できつつあるシミであれば、消すことや薄くすることができます。しかし、昔からあるシミはメラニン色素が深い部分まであることが多いため、効きにくいことが多いようです。美白化粧品を半年以上使用しても改善しなければ、医師に相談した方がいいでしょう。

 一方、医師の治療でしか消せないのは、「老人性色素斑」といわれるシミのうち厚みのあるものや、「脂漏性(しろうせい)角化症」といわれるざらつきのあるシミです。これらはメラニン色素を含んだ表皮細胞や角質が厚くなっており、美白化粧品では消えないため、医師による治療の対象になります。

 治療方法には▽レーザー治療▽ビタミンCやトラネキサム酸などの内服治療▽レチノイン酸やハイドロキノンなどの外用治療▽ピーリング治療-などがありますが、効果が高いのはレーザーです。

 レーザーにもいろいろありますが、治療の仕組みとして、レーザーがメラニン色素に当たり、色素が破壊・吸収されるものや、シミがある部分の皮膚をはがし、そこに正常な皮膚が再生されてシミが消えるものがあります。

 ただし、レーザー照射後の皮膚は紫外線に反応しやすく、紫外線対策が重要です。また、数種類のシミが同時に混在している人も多く、シミごとに適切な治療が必要です。レーザーを照射すると悪化するシミ(肝斑(かんぱん))が混在していることもあり、診断が重要になります。また、生まれつきのものは医師の治療でしか消せないことが多いです。

 レーザー治療は多少の痛みを伴いますが、痛みを防ぐために、冷却してから照射したり、痛み止めのクリームやテープを使用したりする方法があり、完全ではないものの痛みを和らげることができます。

 治療費用は、生まれつきのものであれば保険がきくものもありますが、肌の老化でできたシミは自費治療となります。シミの種類や治療方法、治療期間によって変わるので、お近くの形成外科、皮膚科にお尋ねください。

徳島新聞2011年11月20日号より転載

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