【質問】 腹部に痛み、黄だんも
40代の女性です。腹部に痛みがあり黄だんも出てきたので検査を受けたところ胆石症と分かりました。どのような治療方法がありますか。また再発はあるのでしょうか。日常生活で気を付けることがあれば教えてください。
【回答】 胆石症 -石除去や胆のう摘出を-
徳島赤十字病院 消化器科部長 佐藤幸一(小松島市小松島町)
胆石症は、胆のうや胆管などに石ができて、上腹部痛、発熱、黄だんなどさまざまな症状を引き起こす病気です。胆石は、含まれる成分から▽コレステロール胆石▽色素胆石(ビリルビンカルシウム石、黒色石)▽その他のまれな胆石-に分類されます。胆石の成分や存在部位によって治療法が異なりますので、分けて説明します。
まず、胆石が胆のう内に存在することにより、腹痛などの症状を来すものを胆のう結石症といいます。わが国では胆石全体の80%を占めます。
治療は、症状がない人はそのまま経過を見るのが一般的です。症状がある場合には、胆石を溶かす薬を飲んだり、体外からの衝撃波で石を小さく壊して取り除いたりして、胆のうを残したまま石を取り除く治療法があります。
しかし、石の種類や大きさ、胆のうの働き具合によっては、そのような治療ができなかったり、治療を行っても石が消失しなかったりすることもあります。また、治療後の再発も25~40%認められます。
このため、根本的に治すには手術が必要です。腹に小さな穴を開け、腹腔鏡(ふくくうきょう)を使って胆のうを取り出す手術(腹腔鏡下胆のう摘出術)が第1に行われています。
次に、総胆管内に石が存在する総胆管結石症は、わが国の胆石の約20%を占め、増加傾向にあります。総胆管結石は症状がなくても、将来、高率に症状が出ると予想されますので、治療が必要です。
治療は、内視鏡を使って十二指腸にある胆汁の出口(乳頭)を広げ、胆管から石を取り出す方法が標準的治療ですが、開腹手術や腹腔鏡下手術を行うこともあります。どの方法を行うかは、石の大きさや数、患者の状態で決めます。胆管結石が再発する頻度は10~20%と報告されています。
最後に、肝内胆管に胆石が存在する肝内結石症は、胆石症の1%で、まれな病気です。最近はその頻度がさらに減少しています。
治療は、胆道内視鏡を使って石を取り除く方法や、肝臓を一部切り取る方法などがあります。
胆のう結石、総胆管結石、肝内結石について、その存在部位を《図》に示しました。
相談者の場合、胆石の種類や存在部位が分からないため、正確にはお答えできませんが、腹痛や黄だんが認められたとのことであり、胆石の精密検査や、何らかの治療が必要と考えられます。主治医とよく相談してください。
日常生活で気を付けることは、脂肪分の多い食物や過食は避け、規則正しい食生活をすることです。また、過労やストレスを避けて、定期的に適度な運動をするのが良いでしょう。