【質問】 つめの両端が食い込む
中学3年生の長女が、足のつめの両端が指に食い込む「巻きづめ」で悩んでいます。見ていてとても痛そうです。つめはあまり切らない方がいいと聞きますが、どういう治療方法がありますか。日常生活で気を付けることはありますか。また何科を受診すればいいのでしょうか。
【回答】 巻きづめ -症状により矯正や手術を-
きたじま田岡病院 形成外科部長 松本和也(板野郡北島町鯛浜)
「巻きづめ」は足の親指に起きやすく▼つめが強くカーブして両端が皮膚に当たって痛い状態▼つめの角が皮膚に食い込みジクジクしたり肉が盛り上がったりする状態(陥入爪(かんにゅうそう))-の2種類があります。
ご質問からはどちらの状態かはっきりしませんが、前者のジクジクしていない「巻きづめ」だとすると、治療方法には矯正と手術があります。
矯正には<1>グラスファイバー製の板をつめに張り、その弾力で矯正する(図1)<2>つめの角の部分にレジン製のつけづめを付ける(図2)<3>小さなフック状のワイヤをつめの端に引っ掛けてワイヤで締める(図3)<4>つめの先に穴を二つ開けて弾性ワイヤを通す(図4)-といった方法があります。<4>は最近テレビなどでも紹介されているようです。
つめを短く切り過ぎて痛むようになった場合は<2>のつけづめが効果的です。硬いつめなどには<3>や<4>の方法を使います。ただ、矯正はどの方法も保険が使えません。
手術には、単につめの端の部分を抜く「部分抜爪」や、端の部分のつめが生えてこないようにつめの根元の部分を処置してしまう「根治術」があります。根治術には、つめをつくる部分をメスで切り取る方法と、化学的に処置する方法があります。現在では、後の痛みが少ないことなどから、フェノール液を不要なつめの部分に塗る化学的な処置がよく行われます。これらの手術には保険が適用されます。
一方、ジクジクした「陥入爪」の場合は、フェノール処置による手術を勧めます。手術では必ずつめの幅が狭くなるので、どうしても嫌という場合は、ジクジクを塗り薬で治してから矯正することもできます。
巻きづめの予防として指導しているのは<1>つめの角を落とさないようにまっすぐに切る<2>足先に余裕のあるひも靴を甲の部分でしっかり固定する<3>長靴や安全靴で足が蒸れたり水にぬれた状態が続いたりすると、水分を含んで柔らかくなったつめが靴に押さえられて簡単に巻くので、定期的に足を乾燥させる<4>足の親指が隣の指に重なる外反母趾(がいはんぼし)にならないようテーピングをする-などです。
一般的に、巻きづめは皮膚科や形成外科のほか、整形外科や外科などで治療できます。矯正治療やフェノールによる処置は行う施設が限られますので、電話などで確かめてから受診されることをお勧めします。