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【質問】 「排卵」確認し経過観察を

 20代の女性です。生理痛がひどいので、産婦人科で内診を受けたら「子宮が小さい」と指摘されました。膣(ちつ)と子宮の大きさが1対1くらいだそうです。生理は30日周期で定期的にあるのですが、将来の妊娠・出産に不都合はありますか。また、子宮を大きくする方法や治療はあるのでしょうか。



【答え】 子宮発育不全 -将来の妊娠・出産に不安-

徳島県立中央病院 産婦人科 前川正彦

 子宮は、胎児を育成する子宮体部と胎児を保持する子宮頸部(けいぶ)に大別できます。子宮の全長は、9歳で約4cm、15歳で約5.5cm、成人で約7.8cmといわれてています。閉経後は、卵巣からエストロゲンというホルモンが生産されなくなるため、再び小さくなります。 

 子宮体部が子宮に占める割合は、発育段階によって異なります。子宮頸部と子宮体部の大きさの比率は出生時には2対1ですが、10歳ごろには1対1になります。思春期以降、卵巣から分泌されるエストロゲンによって子宮体部はさらに発育し、1対2と成人の子宮の形に近づいていきます。

 ご質問の内容は「子宮は小さく、かつ子宮頸部と子宮体部の大きさの比率は1対1である」と解釈できるのではないかと思います。

 子宮の大きさが各年齢相当の正常子宮に比較して小さい場合に「子宮発育不全」と呼ぶことがあります。しかし、その定義は明確ではなく、診断基準もないのが現状です。原因としては▽卵巣機能低下による低エストロゲン状態の持続▽先天的な子宮低形成や子宮奇形-などが考えられています。

 一方、月経(生理)期間中に月経に随伴して起こる下腹痛、腰痛、嘔気、下痢などの病的症状を月経困難症といいます。月経困難症は、子宮内膜症などの疾患を伴う器質性月経困難症と、疾患を伴わない機能性月経困難症に分けられます。

 若年者にみられる月経困難症の多くは機能性であり、子宮頸管が狭小であることや強力な子宮収縮物質であるプロスタグランディンの作用が原因とされています。ご質問の方も「ひどい月経痛がある」とのことですが、器質的な異常がないようですので機能性月経困難症と判断していいのではないかと思います。

 一般に、初経から数年は無排卵周期から排卵周期への移行期間となります。通常、月経困難症は無排卵性月経にはみられないため、月経痛が強くなってきたころから排卵周期が始まったのではないかと推察します。

20091108子宮発育不全

 また「月経は30日周期で定期的」ですので、基礎体温測定、超音波検査および血中ホルモン検査などによって排卵周期であることが確認されれば、月経痛をコントロールしながら経過観察をすることが望ましいと思われます。

 子宮発育不全は不妊症の原因となりますが、妊娠の成立には子宮の大きさよりもむしろ、子宮内膜の機能が重要であると考えられています。不妊症の原因には子宮因子のほかに、卵管因子、排卵因子、男性因子などさまざまな要因がありますので、妊娠しない場合には系統的な不妊症検査を行うことが必要です。

徳島新聞2009年11月8日号より転載

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