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【質問】 生後8ヵ月で卵アレルギー

 8カ月の娘を持つ母親です。生後数カ月のころから顔や手足に湿疹(しっしん)が出始め、6カ月のとき、卵アレルギーが判明しました。「スコア2」です。現在も母乳をやっていますが、主治医は、母親の私自身は除去食の必要はないと言います。スコア2程度だと、除去食の必要はないのでしょうか。今後、どれくらいの間隔で娘のアレルギー検査をしたらよいでしょうか。



【答え】 授乳中の母親の食事制限 -神経質にならないで-

宮本小児科 宮本 直紀(小松島市大林町)

 乳幼児期におけるアトピー性皮膚炎の発症因子として、食物の関与が多いのは、次のような理由によります。

 食物は経口摂取されると、胃腸などの消化管で、タンパク質をペプチドやアミノ酸に分解し、吸収します。しかし、消化管機能の未熟な乳幼児は、十分に分解されず、タンパク質のまま吸収されることが多く、アレルギー反応が起きやすいと考えられています。

 質問の「スコア2」とは、卵白に対するIgE(アイジーイー)抗体(アレルギー反応に関与する抗体)のRASTスコアのことだと思われます。RASTスコアは抗体量によって0から6までの段階で表示され、抗体量が多いほど大きく、スコア0を陰性、1を疑陽性、2以上を陽性と判定します。

 抗体が出来上がったところへ食物抗原(アレルゲン)が進入してくると、抗原抗体反応(アレルギー反応)が起こり、皮膚のかゆみ、発赤、じんましんなどさまざまな症状を引き起こし、皮膚炎を悪化させることがあります。抗体量が多い(スコアが大きい)ほど強い反応が起こり、症状が出現しやすくなります。アレルギー反応の強い乳幼児期のアトピー性皮膚炎患者に食事制限を行うことが多いのは、このアレルゲンを除去するのが目的です。

 しかし、食事制限は、抗体陽性という理由だけで漫然と続けるのはよくありません。ほとんどのアレルギー児が、消化管機能の成熟とともに耐性を獲得し、原因食物を食べても症状が出なくなります。主治医と相談し、必要以上に制限を続けないように解除時期を考慮することが大切です。

 さて、質問にある授乳中の母親の食事制限についてですが、母親が卵を摂取した場合、母乳中には、卵白オボアルブミン、オボムコイドなどのタンパク質が分泌され、これが卵アレルギー児のアレルゲンになるのは事実です。ただし、母乳中に分泌されるアレルゲンの量は、直接摂取量の十万から百万分の一といわれています。

 このことを考慮すると、子どもの抗体スコアが5?6といった強陽性の場合、あるいは、子どもが卵の摂取で重篤な症状を引き起こしたことがある場合を除いて、母親の食事制限はそれほど厳密でなくてもよい場合が多いと考えられます。

 相談者の場合、子どものスコアが2と抗体量も少ないため、食事制限は神経質になる必要はないでしょう。万一、母親が卵を摂取後、子どもに明らかな症状が出る場合は、主治医と相談しながら制限を考慮してください。

 最後に、アレルギー検査の間隔ですが、乳幼児期はアレルギーの症状も抗体も年齢とともに変化します。乳児期のアレルギー抗体は、卵、牛乳、小麦など食物抗原に対する抗体が中心ですが、これらの抗体量は年齢とともに減少し、逆にハウスダスト、ダニ、花粉など吸入抗原に対する抗体量が加齢に伴い増加する傾向があります。従って乳幼児期は、1年に1回程度の検査で、これらの抗体量の動きを見ておくとよいでしょう。

徳島新聞2009年1月18日号より転載

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