【質問】 予防接種の副作用心配
30代の女性です。はしかのことで相談させてください。免疫力が落ちている場合は、予防接種を再度受けても構わないという記事を見たことがありますが、接種による副作用はありませんか。以前「三日ばしか」にかかったことあるので、気になっています。それと、もうすぐ歳になる子どもがいますが、接種させても年齢的には問題ないでしょうか。
【答え】 はしか -発熱・発疹あるが低い確率-
田山チャイルドクリニック 田山 正伸(徳島市北矢三町)
最初に語句の混乱がないよう説明します。「三日ばしか」は風疹(ふうしん)のことです。「はしか」は麻疹(ましん)といい、異なった病気であることを区別しておきます。麻疹は、一部で軽い病気と誤解されていますが、肺炎や中耳炎、脳炎などの合併症を引き起こしやすく、死亡例もある重い病気です。
昨年、大学生を中心に「成人麻疹」が流行し、休校や学外実習が中止されるなど大きな社会問題となったことは、記憶にあると思います。成人麻疹の報告は以前にもありましたが、昨年のような大きな流行はありませんでした。このことは、成人において十分な麻疹抗体価を持つ人の割合が減少し、成人から成人への感染が起こることを示すものです。また、子どものときに麻疹ワクチンを受けた人の中にも、抗体価の低下している人があります。
質問の「免疫力が落ちている場合」とは、まず、麻疹のワクチンを受けていても年月が過ぎて抗体価が低下し、麻疹にかかる可能性のある状態をいいます。また、過去に麻疹にかかったといわれている場合でも、本当に麻疹かどうかの診断がはっきりしなかったり、麻疹にかかっても十分に抗体が上昇せず、低下したりする場合もあります。
それを確かめる方法は、医療機関を受診して抗体価を検査することです。検査の結果、抗体価が一定以上なく低下している場合は、予防接種を受けた方がいいと思います。
同時に、風疹の抗体価も検査しておくといいでしょう。風疹の場合も、一度かかっても抗体価が低下することがあるのでお勧めします。麻疹ワクチンの副作用は、主に発熱と発疹(ほっしん)がありますが、発症は数パーセントくらいの確率ですからそれほど多くありません。
現在、麻疹ワクチンは麻疹単抗原ワクチンと、麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)の2種類があります。最近ではMRワクチンを使用することが多く、成人でも風疹の再感染を考えて、麻疹単抗原ワクチンよりもMRワクチンを接種する方がいいと思います。
現在の定期予防接種は、MRワクチンを第一期として1歳児の1年間(1歳の誕生日から2歳の誕生日の前日まで)に受けることが義務付けられています。お子さんの1歳の誕生日がきたら、体調を考慮して速やかにMRワクチンを受けることをお勧めします。
また、2006年からMRワクチンの2回接種が始まり、小学校入学前の1年間(第二期)にもう一度受けることになっています。これは、お母さんのように成人になって麻疹や風疹の抗体価が低下していないかとの不安を少なくし、感染を予防するものです。
以上、参考になればいいのですが、もし不明な点がありましたら、かかりつけの小児科などの医療機関に相談してみてください。