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【質問】 がんの再発が不安

 30代後半の女性です。36歳の時に子宮がんと乳がんの検診をしましたが、「細胞診検査だけではがんが発見しにくい」とのことで、一緒に超音波検診もしました。その結果、子宮筋腫(きんしゅ)とポリープが見つかり、手術して取ることになりました。37歳のときに再び子宮がん検診をしたのですが、今度は子宮頚部(けいぶ)腺がんと診断されました。この病気は何十人に何人しかならない病気で、まれにしかないと聞きました。子宮摘出は免れたものの、少しだけ取りました。毎年検診を受けていたのにもかかわらず、がんになったのはショックです。転移するかも、と思うと不安でたまらず、食生活を変え、今は漢方をせんじて飲んでいます。3カ月に1回の検診もしていますが、これからどうすればいいのでしょうか。



【答え】 子宮がん -3カ月ごとの検診継続を-

徳島大学医学部 産科婦人科 古本 博孝

 質問にはいくつかの問題点が含まれていますので、それぞれ答えたいと思います。

 まず、細胞診検査だけではがんが発見できません。最適な検診方法はがんの種類によって異なります。婦人科がんについて述べますと、子宮の入り口にできる子宮頸がんは、細胞診が最も感度が高い検査法で、肉眼では分からないがんの手前の状態を発見できます。

 いわゆる子宮がん検診というのはこの検査のことで20歳以上のすべての女性に毎年受けることをお勧めします。一方、子宮の奥の内腔にできる子宮体がんはその96%が不整出血を伴うので、不整出血のない女性は検査しなくてよいことになっています。もしあなたが子宮がん検診に行って、問診表に「不整出血なし」と書くと、体がんの検査はされません。逆に不整出血ありと書くと、体がんの検査をするように言われるはずです。

 体がんの検査は細胞診を主体に行いますが、体がんの細胞診は判定が難しく10%くらいを見落とすといわれていますので、超音波検査、組織検査、子宮鏡検査などを組み合わせます。卵巣にできる卵巣がんはおなかの中にありますので、超音波検査が最も感度が高い検査法です。産婦人科で超音波検査を行うと2~3センチから診断可能ですので、まず見落としはありません。

 次に、毎年検診を受けていたのにもかかわらず、がんになったとのことですが、感度が100%の検査は存在しません。必ず見落としが起こります。頸がんの細胞診は非常に完成された検査ですが、それでも5%程度の見落としがあると想定されています。

 頸がんの90%は扁平(へんぺい)上皮がんで、10%は腺がんですが、腺がんは特に見落としが多いとされています。頸がんのもとができて、命を脅かすようになるまでに10年程度かかると考えられています。従って毎年検診を受けていれば十回発見されるチャンスがあるわけです。また、最近では頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスのDNA検査を細胞診と組み合わせることで、見落としをなくすことができると考えられています。

 質問の人は毎年検診を受けられているので早期に発見できたと考えられます。腺がんは通常、子宮を摘出しますが、部分切除ということは初期がんの0期であったと推測されます。腺がんでは毎年検診を受けていたにもかかわらず進行した状態で発見される場合もありますので、早期に見つかったのは運が良かったと思います。転移を心配していますが、初期がんのIa期までは転移は起こりません。

 頸がん0期の場合は100%治癒しますが、部分切除の場合、子宮局所の再発は起こりうるので、3カ月ごとの検診を続けるとよいと思います。また、0期の子宮局所の再発は治癒しますので、検診を受けていれば問題ありません。

 今回の質問は、担当医に尋ねれば解決すると思われます。診察室ではなかなか質問しにくいと思いますので、質問を個条書きにして手渡すのも一つの方法です。

徳島新聞2007年7月8日号より転載

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